傭兵ですが、報奨は花束でお願いします

竹桜

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第一話 傭兵契約

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 私の名前、いや、通り名はウィザーだ。

 この通り名は傭兵の時に使用している名前だ。

 本当の名前は家名を捨てられただけでちゃんとある。

 私はある契約が途中で破棄され、主人がいない。

 そんな状況の中、私は旅をしている。

 旅をしていると私はある小国にたどり着いたのだ。

 さて、そろそろ金が底をついてしまう。

 だから、仕事をしないとな。

 そんなことを思いながら、私はギルドに向かっていたのだが、途中で見掛けてしまった。

 綺麗な花畑を。

 まだ時間はある。

 寄るか。

 そう判断した私は足を綺麗な花畑の方に足を進めたのだ。

 花畑に到着すると先客を見つけたのだ。

 だが、その先客は異様の一言だった。

 先客はボロボロなドレスに身を包み、痩せ細っていたのだ。

 まるで、冷遇されているみたいに。

 そんな少女の髪は金色だったのだ。

 そして、その少女が座っている周りだけ黄色の、いや、黄金の花が咲き誇っている。

 ま、また、私は。

 私は思わず右手で前髪をかき上げてしまった。

 前髪かきあげた後、私は少女の方に向かって、足を進みたが、足音に気がついたのか私の方を向いてきたのだ。

 私の姿を見た少女は驚きと怯えが混ざった表情を浮かべていた。

 「あ、貴方は?」

 「失礼。私は傭兵のウィザーと申す者です」

 「え、えっと、傭兵の方が私に何か用ですか?」

 「用はないですよ。ただ花畑に寄っただけです」

 「そ、そうなんですか」

 少女が言葉を続ける前に後ろから足音が聞こえてきたのだ。

 自然と私と少女の視線は足音の方に向いたのだ。

 視線の先にはガラが悪い男が2人いた。

 その男達は少女の方を見ながら、ニヤニヤしながら、武器を抜いたのだ。

 大体察した。

 あの男達はこの少女を殺しに来たのだろう。

 それにしてもこんな傭兵崩れみたいな者達に雇うなんて。

 それだけ、この少女には味方がいないのだろう。

 なら、後で報奨を貰うとして、今は助けるか。

 そう言い、私は武器を抜いたのだ。

 私が剣を抜いたことすら、気がついてない。

 おいおい、街のチンピラ以下だぞ。

 目標に目がいきすぎだ。

 まぁ、どうでもいい。

 直ぐに終わらせる。

 そんなことを思い、私は踏み込んだのだ。

 私は踏み込みで一瞬の内に傭兵崩れの懐に潜り込んだのだ。

 そこでやっと傭兵崩れは私の接近に気がついたのだ。

 遅すぎる。

 私は両手の武器で傭兵崩れの腹を殴ったのだ。

 武器で殴られた傭兵崩れは腹を押さえながら、白目を向き、膝から崩れ落ちたのだ。

 気絶したことを確認した私は構えていた武器、いや、ファルシオンを収めた。

 収めた後、私は少女の方を向いたのだ。

 「この襲撃で大体理解出来た。ここで会ったのも何かの縁だ。だから、護衛をしよう」

 「で、でも、私、何も持ってない。あ、貴方に報奨を払えない」

 「それなら何も問題無い。私の報奨は花束で構わない」

 「は、花束が報奨?と、取り敢えず、分かりました」

 そう言い、少女は周りで咲き誇っていた黄金色の花を綺麗に摘み、花束にしたのだ。

 花束にしたら、目の前にいる少女は私に近付き、渡してくれた。

 「ど、どうぞ」

 「ありがとうございます。これで、契約は完了です。これよりお願い致します」

 「こ、こちらこそ」

 この日、私は新たな傭兵契約を結んだ。

 今回の契約はいつまで続くかな?
 
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