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最終話 この世界を愛した女神の祝福
しおりを挟むあの後、私は投擲した斧を回収しようとしたが、この戦場から遠い場所まで飛んでいってしまった。
あの斧には発信機の魔法具をつけているので、それを頼りに向かうと私は驚きで固まってしまう。
到着した場所は別の戦場だったのだ。
その戦場には神々の死体が無い代わりに沢山の悪魔の死体があったからだ。
その全ての死体は武器を握っている。
そんな中を歩いていると私が起死回生の一撃で倒したリフレーヌ殿が死んでいるのを発見してしまう。
それを発見した私は目を閉じ、会釈する。
リフレーヌ殿の冥福を祈った後、私は進み続ける。
発信機が示す場所に到着した私は自然と片膝をついていたのだ。
悪魔王よ。
ここで死んでいたのか。
私は目を閉じ、頭を下げる。
私が肯定しよう。
貴方方がした抵抗は無駄ではなく、必要なことだったと。
抵抗してくれたお陰で神々の慢心を誘うことが出来たのだ。
だから、どうか安らかに眠ってくれ。
冥福を祈った後、私は斧を回収せずに帰る。
愛しい者達が待つ場所に。
それから時が経ち、私達は王立学園を卒業したのだ。
卒業式から1ヶ月が経つ日に私は正装に身を包み、クリース神の教会の中にいる。
そして、その教会の中には様々な権力者達が座っている。
そう、今日は私達の結婚式なのだ。
き、緊張するな。
前の人生ではこういった経験が無いからな。
そんなことを思いながら、覚悟を決めていると鐘が鳴り響いたのだ。
その鐘の音と共に教会の扉が開いたのだ。
開いた扉の先には純白なウェディングドレスに身を包んだリリ達とそんなリリとノラをエスコートしているバースナ子爵とブザリー公爵が立っている。
そのまま、リリ達は私達の方までやってきたのだ。
「ロガー公爵。どうか、娘を頼む」
「私からもノラのことを頼む。世界一幸せにしてくれ」
「お任せ下さい。バースナ子爵、ブザリー公爵」
そう、私は公爵家になったのだ。
あれ程の功績で伯爵家では難しいという話になり、満場一致で公爵と決まった。
そして、公爵家の当主が子爵家の婿に入るのはという話になったのだ。
私は抵抗しようとしたが、リリに説得されたのだ。
だから、私はリリを嫁として受け入れることに納得した。
そんなことを考えながら、私はリリ達のことをエスコートしながら、神父の方に向かったのだ。
いや、神父ではないな。
聖女のところに向かう。
聖女の前に到着した私はリリ達のエスコートをやめ、片膝を地面につく。
片膝をついた私はクリース神の姿が刻まれたステンドグラスの方を向いたのだ。
「クリース神よ。私、クルス・ロガーはリリアナ・バースナとノラ・ブザリーと木下 雫に永遠の愛を誓います」
私がそう言い終えるとリリ達が私が見ていたステンドガラスに向かって、カーテシーする。
カーテシーをし終えた後、リリ達はステンドガラスの方を向く。
「ぼ、僕、リリアナ・バースナはクルス・ロガーに永遠の愛を誓う」
「私、ノラ・ブザリーはクルス・ロガーに永遠の愛を誓います」
「私、木下 雫はクルス・ロガーさんに永遠の愛を誓います」
「それでは誓いのキスを」
その言葉を聞いた私は立ち上がり、リリ、ノラ、雫ちゃんの順番で誓いのキスをする。
誓いのキスを終えた私達は外に出たのだ。
外に出た私達は教会の外にいる者達から祝福を受ける。
そんな祝福の中、リリ達はブーケトスを行う。
ブーケトスを終えたリリ達は私の方を向いてきた。
「クルス。私達のことを幸せにしてね」
「クルスさん。私達のことを世界で1番幸せにして下さい」
「ロガーさん、いえ、クルスさん。私、私達のことを末永くお願いします」
そして、リリ達は本当に幸せそうな表情を浮かべていたのだ。
「ああ、任せてくれ」
そんな時、私達を祝福する鐘が鳴り響く。
その祝福と同時に祝福するように花びらが私達のことを包む。
こ、この花びらは。
実はクリース神は花の女神。
だから、これは神からの祝福なのだ。
それに気がついた民衆は歓喜の声を上げている。
そんな歓喜を声で聞きながら、あることを確信することが出来た。
これから私達は幸せになることが。
だって、私達はこの世界を唯一愛した女神に祝福されたのだから。
そんなことを思いながら、私は晴れ渡っている青空を見上げたのだ。
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