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第五十三話 こんな僕には
しおりを挟むぼ、僕の名前はリリアナ・バースナ。
バースナ子爵家の長女でもある。
昔、婿になりたい人に詰め寄られたことがあって、それが少しトラウマになっている。
だから、僕はあまり屋敷から出てない。
それから冷害が発生して、屋敷の中から殆どの人が消えてしまう。
そんな中、お父様は1人の奴隷を購入してきた。
その奴隷の人は瞬く間に屋敷の中を変えていく。
屋敷が綺麗になり、屋敷が元に戻り、元の生活に戻っていく。
そして、ある日僕はお父様に呼ばれ、キッチンに呼ばれた。
キッチンに到着した僕はお父様と知らない人がいたのだ。
それが僕とクルスとの出会いだった。
それから僕はクルスと一緒に過ごしていく中でとても嬉しいことを言ってくれたのだ。
その時、僕は自身の気持ちを気がついたのだ。
クルスのことが好きなんだって。
1度恋心が目覚めた僕には過去のトラウマなんか吹っ切れたのだ。
だから、僕はお父様に直談判した。
クルスのことを婿にしたいと。
その言葉を聞いたお父様は優しい表情を浮かべながら、僕の頭を撫でてくれた。
「そうか。クルスなら、リリのことを任せられる」
その後、僕はクルスと婚約を結んでくれた。
それから僕達は王立学園に入学したんだけど、色んなことが起きる。
でも、1番大きかったのは僕以外の人がクルスの婚約者になったこと。
マリーサ王国のブザリー公爵家の長女のノラと異世界人でクルスの前世の知り合いの雫。
そんな2人とは仲はいいけど、偶に思ってしまう。
クルスは私の婿にじゃなくて。
そんなことを頭の片隅で考えながら過ごしていたある日、僕は王家主催のパーティーに来ていたのだ。
雫は来てないけど、お父様とノラとクルスは一緒に来ている。
一緒に会場に来たクルスは到着すると同時に王家に呼ばれたので、殆ど最初からいない。
だから、お父様とノラと一緒にいたんだけど、ノラはブザリー公爵家の当主を見つけ、お父様はシルクの事業のお得意先の方々がいたので、僕から離れていく。
1人になった僕は伯爵家以上の令嬢に囲まれ、嫌味を言われたのだ。
その嫌味の殆どは僕がクルスに相応しいないこと。
そ、そんなことは僕が1番分かっているよ。
こんな僕にはクルスの隣にいる資格が無いぐらい。
だって、僕はノラよりも可愛くないし、雫よりも頭も良くない。
それにノラみたいに公爵家の令嬢じゃない。
雫よりも文才がある訳じゃない。
でも、でもそんなぼ、僕でもクルスの隣にいたい。
僕は、僕はクルスのことが好きだから。
だ、だから、だから、僕は諦めない。
絶対に。
「い、嫌だ。ク、クルスは僕の婚約者でバースナ子爵家の婿になるんだ」
その発言が不快に思ったのか1人の令嬢が顔を真っ赤にし、右手を振り上げたのだ。
僕は叩かれるかと思い、目を閉じることしか出来ない。
でも、僕が叩かれることは無かった。
そのことを不思議に思った僕は目を開ける。
目を開けた僕の目の前にはクルスがいたのだ。
僕のことを叩こうとした令嬢の腕は怯えた様子の騎士が抑えていたのだ。
その時、僕は気がつく。
クルスが怒っていることに。
僕はクルスの隣にいていいんだ。
こんな僕でも。
空気が悪い会場の中で僕はそんなことを思ってしまう。
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