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第五十四話 脅し
しおりを挟むあれから時が経ち、長期休暇も終わりに近づいていたのだが、王家主催のパーティーが開かれたのだ。
今回のパーティーは強制参加の為、参加しなければいけない。
雫ちゃんは貴族ではないので参加しないが、リリ達は参加だ。
だから、私は王家主催こパーティーに向かったのだが、到着して早々私は国王陛下に呼ばれたのだ。
王命だから、断れないな。
リリ達に別れを告げ、私は国王陛下のところに向かったが、聞かれたのはあの大きすぎる木のことだったのだ。
何故だ?
何故、国王陛下がそのことを知っているのだ。
そのことを疑問に思っていると国王陛下が教えてくれたのだ。
マリーサ王国の貴族が国王陛下からの報奨欲しさに秘密裏に報告したみたいだ。
凄いな。
私が褒美として望んだことを報奨欲しさに勝手にする報告するなんて。
褒美の意味が無くなるだろう。
「それでどうする?」
「内密でお願いします。これ以上、爵位が上がるのは少し問題があるので」
「まぁ、そうだろうな。今回のことは聞かなかったことにする」
「ありがとうございます、国王陛下」
国王陛下との謁見を終えた私は会場に戻ったのだが、リリの姿を見つける。
見つけたリリは知らない令嬢達に囲まれていたのだ。
面倒くさいになりそうだな。
そう思った私は近くにいた騎士と一緒にリリのところに向かったのだが、1番派手な令嬢が右手を振り上げたのだ。
何をしようとしている?
まさか、リリのことを叩こうとしているのか?
本当にふざけているな。
静かに怒りながら、私は隣りにいた騎士の方を向くと全てを察し、叩こうとした令嬢の手を掴んだのだ。
それを確認した私はリリに近寄る。
「リリ。大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫だよ」
「そうか。なら、早く終わりにしよう」
そう言い、私はリリの目の前にいる者達に殺気を向けると顔を真っ青にし、体をブルブルと震わせていたのだ。
恐怖で。
これで取り敢えずは大丈夫だな。
「一体これは何のつもりですか?」
私はある者の方に向く。
向いた方向には険しい表情を浮かべたこの国の筆頭公爵家の当主がいたのだ。
「何のつもりだと?私は何もしてないが」
「それはおかしいですね。色々と王立学園内で私を殺そうと裏工作をしていたのに」
その言葉に会場にいる者達は驚きを露わにしたのだ。
「ちなみにこれがその証拠ですよ」
私は今まで集めた証拠を魔法袋から取り出す。
必要無いと思いながら、一応と思い集めたのだ。
この証拠は影響力が高いから、今まで表にしてなかったが、リリを守るためなら躊躇しない。
「わ、私は関係ないぞ。それはあやつが勝手にしたことだ」
「そうかもしれないですが、監督責任があるとは思いませんか?」
「そ、それは」
私の口撃に当主はタジタジとなっている。
それでも私は口撃を続ける。
「あまり私を舐めない方がいいですよ。戦闘だけが出来る者だと思わないでください」
「ロガー伯爵。その資料は私に提出してくれ。その証拠を元に貴族会議にかけ、罪を確定させる」
その声の主に視線が集まる。
視線の先には国王陛下がいたのだ。
「分かりました、国王陛下」
私は国王陛下に近づき、証拠を提出する。
「うむ、確かに受け取った」
その後、私達は国王陛下から許可を貰い、パーティー会場から退室し、バースナ子爵家の屋敷に帰ったのだが、ノラはブザリー公爵と一緒にいるみたいだ。
自室に帰った私は寝よう考えていたが、扉がノックされる。
リリ達とは挨拶したはずだが。
そんなことを思いながら、私は扉を開けたのだ。
扉を開けた先には何とネグリジェ姿のリリがいる。
「どうしたんだ?こんな時間に」
「す、少しクルスに用があって」
用?
そこで私は気がついた。
リリの顔が少し赤くなったいることに。
「き、今日はありがとう、クルス」
「気にしないでくれ。私は当たり前のことをしただけだ」
「や、やっぱり、クルスは優しいね。で、でもお礼はする」
リリは少し赤い顔のまま私を見てくる。
「ク、クルス。め、目を閉じて」
「分かった」
私は特に抵抗することなく、目を閉じる。
目を閉じてから少しするとほっぺに柔らかい感触を感じたのだ。
「も、もう目を開けていいよ」
リリにそう言われたので私は目をあけたが、目の前には顔を真っ赤にしたリリがいたのだ。
ま、まさか。
「お、お礼はしたから。お、おやすみ」
リリは走り去ってしまう。
私は暫くリリにキスされた場所を押さえながら、固まってしまった。
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