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第四十三話 衰弱した異世界人

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 後処理は大変だろう。

 まずは魅了に操られた者達のケアから始める。

 数は物凄いことになるだろう。

 あの偽聖女はどうやらビッチだったみたいだ。

 自分の好みの男を見つけたら、魅了で婚約を解消させ、性行為をしていたみたい。

 しかも、その数が多い。

 その結果、多くの婚約が無くなってしまう。

 中には幼い頃から仲が良かった婚約者同士もいたみたいだ。

 そして、勇者の方もヤバかった。

 手当たり次第、性行為していたみたいだ。

 それが人妻だろうと婚約者がいる貴族令嬢だとしてもお構い無し。

 その影響で、離婚や婚約破棄などもおこっている。

 酷いものだと実家から縁を切られ、修道院に入られた例もあるようだ。

 はっきり言って、異世界人が通った国では問題しか起きてなかった。

 その中で、剣士は何もしてなかったみたいだ。

 異世界人が数多くの国が怒りに溢れている。

 今後の処遇に関しては各国が話し合っているみたいだ。

 私は偽聖女と勇者の尋問は他の者に任せ、私は剣士を尋問することに決まったのだ。

 私が尋問室に入ると直ぐに口を開いたのだ。

 「お前はなんだ?」

 「なんだとは?」

 「正体についてだ。本当に人間なのか?」

 「正真正銘の人間だ。さて、私のことはどうでもいい。聞きたいのは1つだけだ」

 「なんだ?」

 「もう1人の異世界人は何処にいる?聖女様から居場所を聞かれたのだ」

 「聖女が生きているなんてな。騎士達を向かわせて筈だが」

 「それは私が無力化した」

 「そうか。本当に何者だ?」

 「質問しているのは私だが」

 「それに答えたら、お前の質問にも答えよう」

 「仕方ないか。一応、私は四天王の1人、リフレーヌ殿を1度倒したことがある斧使いだ」

 それを聞いた剣士は驚きの表情を浮かべていたのだ。

 「そんな男がいるなんてな。約束通り、質問に答えよう」

 剣士は懐に手を入れる。

 すると周りの兵士達は武器を構えようとしたが、私はそれを手で静止する。

 剣士は懐から取り出した物を机の上に置いたのだ。

 机の上に置かれた物は魔法具だった。

 それは特定の場所を登録し、転移することが出来るタイプの魔法具だ。

 「これがいる場所だ」

 「そうか」

 私はその魔法具を手に取る。

 「済まないが、後は任せる」

 私は尋問室を退室する。

 その後、直ぐに私は避難用の屋敷に向かう。

 到着したら、真っ先に地下室に向かうと騎士達が正気に戻っていたのだ。

 正気に戻った騎士達は聖女の居場所を聞いてきたが、今は答えられないと答える。

 そう答えた後、私は聖女のところに向かい、先までのことを話す。

 とても驚いた表情を浮かべた後、嬉しそうな表情を浮かべていたのだ。

 「ありがとうございます、ロガーさん」

 「気にしないで下さい。私は当たり前のことをしたまでです」

 聖女は騎士達を許し、剣士から手に入れた魔法具を使用する。

 すると、私達は強い光に包まれたのだ。

 強い光が晴れると私達は見知らぬ森にいたのだ。

 そして、目の前には小屋がある。

 多分、ここが最後の1人の異世界人がいる場所だろう。

 私達が突入すると小屋の中には誰もいなかった。

 嘘をつかれたか?

 そんなことを思っていると息遣いが聞こえてきたのだ。

 どこからだ?

 耳を澄ましてみるとそれは地下からか。

 地下室に続く階段は直ぐに見つかり、私達は急いで地下に向かう。

 地下室まで移動していると牢屋が見えてくる。

 牢屋だと?

 まさか、牢屋に閉じ込められているのか?

 そんなことを思っていると、私達は牢屋まで到着する。

 異世界人は地面に倒れ込んで、明らかに衰弱していたのだ。

 聖女は直ぐに駆け寄り治療しようとしたが、私は動けない。

 驚きのあまり。

 なんで?

 なんで、ここにいるんだ?

 彼女が。

 まさか、衰弱した異世界人が。

 

 
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