上 下
48 / 51

第四十八話 留学

しおりを挟む

 あれから時が経ち、2年の前期が終わる。

 そして、今日は留学の出発の日だ。

 今回の留学はノラと一緒だから、結構楽しめると思う。

 本当はリリも来たかったみたいだが、留学の参加にはAクラス以上の者達だけなのだ。

 だから、リリは参加出来ないのだ。

 私は留学に参加する気は無かったのだが、今回の留学先である隣国のマリーサ王国は魔法具が有名なので、ノラが興味を持ったのだ。

 そして、リリが隣国に興味を持ったので、今回の留学に参加が決まった。

 リリの参加が出来るように動いたのだが、何とか出来なかったのだ。

 中級悪魔を倒した報奨も利用しようとしたが、結構直前だった為対応が無理だった。

 そして、今日は留学に出発する日だ。

 旅の荷物を馬車に乗り込んで、今は馬車の前に私とノラが立って、リリと雫ちゃんとバースナ子爵が私達の前に立っている。

 「ぶ、無事に帰ってきて、クルス、ノラ」

 「どうか楽しんできて下さい。でも、絶対無事に帰ってきて下さい。ロガーさん、リバスタさん」

 「2人ともくれぐれも気おつけてくれ」

 「そんなに心配しないで下さい。クルスさんと一緒ですから」

 「安心して下さい。必ず、ノラと一緒に無事に帰ってきますから」

 そう挨拶した後、私達は馬車に乗り込んで王立学園に向かう。

 王立学園に到着すると殆どの者達が既に集まっていたのだ。

 本当ならもう少し早く到着する予定だったが、リリ達と過ごしていたら遅くなってしまう。

 まぁ、遅刻してないから大丈夫だが。

 私はノラをエスコートしながら馬車から降り、集合場所に向かう。

 集合場所に到着すると何人か足りないことに気がつく。

 それはあの筆頭公爵家の次男とその取り巻き達だったのだ。

 全員が集まらないと出発することも出来ず、ただ無意味に待つことになってしまう。

 まぁ、私達はそこまで問題は無かった。

 ノラがある魔法具を展開してくれたからだ。

 展開させた魔法具はノラが作り出したものであり、何処でもお茶することが出来る。

 だから、ノラとお茶を飲みながら、待つことが出来たのだ。

 周りからは視線は集まったが、特に気にすることは無い。

 ノラと楽しく話していると堂々した態度でやってきたのだ。

 遅刻してきた者達は。

 そんな者達に向けられた視線は冷たいものだ。

 その視線に気がついた遅刻した者達は事態の把握がやっとでき、冷や汗をかいている。

 まぁ、自業自得だな。

 先生達も遅刻した者達に呆れた視線を向けながらも出発の準備を進める。

 本来は4人で1つの馬車で移動するのだが、王立学園から1つの礼として、ノラと2人きりの馬車なのだ。

 私はそれに感謝しながら、ノラをエスコートしてその馬車に乗り込む。

 私達が乗り込むと馬車は動き出す。

 馬車は何事もなく進み、1週間後にはマリーサ王国に到着したのだ。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私は何も知らなかった

まるまる⭐️
恋愛
「ディアーナ、お前との婚約を解消する。恨むんならお前の存在を最後まで認めなかったお前の祖父シナールを恨むんだな」 母を失ったばかりの私は、突然王太子殿下から婚約の解消を告げられた。 失意の中屋敷に戻ると其処には、見知らぬ女性と父によく似た男の子…。「今日からお前の母親となるバーバラと弟のエクメットだ」父は女性の肩を抱きながら、嬉しそうに2人を紹介した。え?まだお母様が亡くなったばかりなのに?お父様とお母様は深く愛し合っていたんじゃ無かったの?だからこそお母様は家族も地位も全てを捨ててお父様と駆け落ちまでしたのに…。 弟の存在から、父が母の存命中から不貞を働いていたのは明らかだ。 生まれて初めて父に反抗し、屋敷を追い出された私は街を彷徨い、そこで見知らぬ男達に攫われる。部屋に閉じ込められ絶望した私の前に現れたのは、私に婚約解消を告げたはずの王太子殿下だった…。    

辺境伯の奥様は「世界一の悪妻」を目指している

cyaru
ファンタジー
公爵家の子息の身代わりに戦に従軍までしたソード伯爵家のファマリー。 戦は終わったものの、父も兄も戦死。残った伯爵家は叔父一家に食い荒らされ母は病死。 その叔父からはかつての敵国だった国のレブハフト辺境伯との縁談を纏めてきたと告げられてしまう。 せめて家名だけは綺麗なままで。 そう考えたファマリーは辺境に赴く日に叔父夫婦の目を盗んでソード伯爵家を廃家とする手続きを取った。 レブハフト辺境伯から遣わされたという使者はファマリーの秘密を知っていた。 母親から「他言無用」と従軍した際も、周りに気取られないよう注意してきた秘密。ファマリーは魔力持ちで「成長を促す魔法」が使える魔法使いだった。 この結婚は貴族で無くなった自分とは無効となると使者に告げるが、使者は「関係ない。領地の為に貴女を選んだ」のだという。 レブハフト辺境に到着したファマリーの目に映ったもの。それは荒廃し焼け野原になった領地。 その日に食べるものにも事欠く領民達だった。 領主の屋敷に到着すると使用人達はもろ手を挙げてファマリーを迎え入れるが、当主であり夫となるはずだったヴィゴロッソがいない。 戦で大事な友人や家族を失った事でファマリーの母国に恨みを持つヴィゴロッソは「スカップ王国の妻などとんだ大恥、悪妻だ」と言い放った。 飢える領民を放っておくヴィゴロッソに怒り心頭で「なら世界一の悪妻になってやるわ!」と領地改革を始めてしまうのだった。 前半はシリアスっぽく見えますが、辺境に行った後はただのコメディのようなものです。 ウッスウスの恋愛要素もありますが、魔法も飛び出すファンタジー(想像の世界)です。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識や歴史と混同されないようお願いします。外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義である事が了解できそうにない時はブラウザバックをお願いします。 現実(リアル)の医療、や日常生活の様相などは同じではないのでご注意ください。 ※架空のお話です。登場人物、場所全て架空です。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

私をもう愛していないなら。

水垣するめ
恋愛
 その衝撃的な場面を見たのは、何気ない日の夕方だった。  空は赤く染まって、街の建物を照らしていた。  私は実家の伯爵家からの呼び出しを受けて、その帰路についている時だった。  街中を、私の夫であるアイクが歩いていた。  見知った女性と一緒に。  私の友人である、男爵家ジェーン・バーカーと。 「え?」  思わず私は声をあげた。  なぜ二人が一緒に歩いているのだろう。  二人に接点は無いはずだ。  会ったのだって、私がジェーンをお茶会で家に呼んだ時に、一度顔を合わせただけだ。  それが、何故?  ジェーンと歩くアイクは、どこかいつもよりも楽しげな表情を浮かべてながら、ジェーンと言葉を交わしていた。  結婚してから一年経って、次第に見なくなった顔だ。  私の胸の内に不安が湧いてくる。 (駄目よ。簡単に夫を疑うなんて。きっと二人はいつの間にか友人になっただけ──)  その瞬間。  二人は手を繋いで。  キスをした。 「──」  言葉にならない声が漏れた。  胸の中の不安は確かな形となって、目の前に現れた。  ──アイクは浮気していた。

【完結】記憶を失くした旦那さま

山葵
恋愛
副騎士団長として働く旦那さまが部下を庇い頭を打ってしまう。 目が覚めた時には、私との結婚生活も全て忘れていた。 彼は愛しているのはリターナだと言った。 そんな時、離縁したリターナさんが戻って来たと知らせが来る…。

【完結】私の婚約者は、親友の婚約者に恋してる。

山葵
恋愛
私の婚約者のグリード様には好きな人がいる。 その方は、グリード様の親友、ギルス様の婚約者のナリーシャ様。 2人を見詰め辛そうな顔をするグリード様を私は見ていた。

完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。

音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。 だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。 そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。 そこには匿われていた美少年が棲んでいて……

謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません

柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。 父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。 あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない? 前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。 そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。 「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」 今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。 「おはようミーシャ、今日も元気だね」 あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない? 義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け 9/2以降不定期更新

病弱な愛人の世話をしろと夫が言ってきたので逃げます

音爽(ネソウ)
恋愛
子が成せないまま結婚して5年後が過ぎた。 二人だけの人生でも良いと思い始めていた頃、夫が愛人を連れて帰ってきた……

処理中です...