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第二十八話 起死回生の一撃
しおりを挟むそれからどれくらい経ったか分からないが、まだ私は戦い続けている。
大きな傷は無いが、小さい傷は出来ている。
それはリフレーヌ殿は同じだ。
これではいつまで経っても勝負を決めるか。
覚悟を決めた私は右手の斧を後ろの魔法袋にしまい、腰辺りに装備しているある斧を取り出す。
そして、取り出した斧を投げる。
リフレーヌ殿はそれを剣で払おうとしたが、それは出来ない。
左手で剣の腹を押さえて、両手で守っている。
それほどの威力だということだ。
私が投擲したのはこの世界には本来無い斧だ。
それはトマホークだ。
このトマホークにはそれなりに金を掛けているから、性能がいい。
これで距離が取れる。
私はバックステップで後ろに下がり、そして斧を後ろで持ち替える。
よし、これで。
私は無策に突撃する。
本当にただ突撃したのだ。
攻撃が届く範囲に突撃した私は右手で斧を横薙ぎで振る。
だが、リフレーヌ殿はバックステップで間一髪その攻撃を避けたのだ。
そして、反撃として私の右手は斬り落とされる。
アドレナリンが出ているのか私には不思議と痛みは無い。
それは私に取って好都合だ。
私は斬り落とされた右手など気にせず、左手に持った斧を上に振り上げ、重力と力をのせて振り下げたのだ。
その攻撃もリフレーヌ殿は間一髪避けたのだが、大きく体勢を崩してしまう。
よし、これで決められる。
腕を捻り、刃を上に向ける。
そして、私は斧を振り上げたのだ。
それに気付き、リフレーヌ殿は剣を盾代わりに間に挟んできたのだ。
だが、私が振り上げた斧は振り下げた時の力がまだ残っている。
だから、盾代わりにした剣は真っ二つになり、そのままリフレーヌ殿の下まで辿り着いたのだ。
そして、文字通り真っ二つになったのだ。
真っ二つになったリフレーヌ殿は真っ赤な血を地面に血溜まりをつくり、そのまま死体は2つに分かれて地面に倒れる。
た、倒せた。
本当に起死回生の一撃だった。
剣を真っ二つに出来たのは私が持ち替えていたからだ。
左手にあの斧を。
そして、まだこの技は名前が決まってない。
だが、参考にしたものはある。
かつて剣豪と呼ばれた佐々木小次郎が使用したと言われている燕返し。
異世界の剣豪だから、分からないだろうな。
肉を斬らせ、骨を断つ。
本当に言葉のままだな。
右手を斬らせ、持ち替えた手に馴染む斧で倒せたな。
そんなことを考えているとアドレナリンがきれてきたので、痛み、いや、言葉にならない激痛が走ったのだ。
痛みを感じると共に立ち眩みがおきる。
クソ、血も足りなくなっている。
早く治療しなければ。
そう考えながら私は包帯で止血し、ポーションを傷口にぶっかける。
すると、痛みが少し和らぎ、完全に血は止まる。
よし、これで大丈夫だな。
いや、大丈夫では無かったな。
利き手を失ってるからな。
勝つためとはいえ。
後で、リリ達に色々と言われそうだな。
そもそもここからどうやって出るんだ?
そんなことを思っていると目の前が光り始める。
その光が収まると見たことがある人物が立っていたのだ。
それは悪魔王だ。
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