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第二十一話 訓練

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 今、私は誰も来ない王都の郊外にある廃屋の地下室に来ている。

 リリとノラは仲を深めるということで街に出掛けている。

 悪魔王と対峙したから私は考えていたのだ。

 普通の魔物ではもう物足りない、いや、一生あの悪魔王に敵うことはない。

 だから、私はこの魔法具を使う。

 そう考えた私は魔法袋からある魔法具を取り出す。

 この魔法具は自身の複製を作る物だ。

 そして、作れる複製は私に危害を与えることは出来ない。

 だが、この魔法具で作る複製は私に危害を加えられる。

 この魔法具は欠陥品だからだ。

 普通は販売されずに廃棄された筈だが、特殊のルートから購入したのだ。

 まぁ、賄賂を渡して手に入られただけだが。

 私はその魔法具を使用し、私の複製を作り出す。

 そして、迷わず私は斧を複製に向かって投げる。

 斧を投げられた複製は斧を拾い、私と同じように構えたのだ。
 
 私は魔法袋から手に馴染む斧を取り出し、複製と同じように構える。

 暫くの間、静寂が訪れる。

 静寂を破ったのは同時だ。

 私は斧の横薙ぎを選んだが、複製も横薙ぎを選んだ。

 威力も同じなので、均衡している。

 埒が明かないと思い、バックステップをし、後ろに下がる。

 それは複製もだ。

 後ろに下がった私が斧を構えると複製も同じように構える。

 それから私は複製と戦い続けたが、全く全く同じ動きをするので、勝負がつくことが無い。

 斧を振っていると何処か嫌な音が聞こえたのだ。

 何処から聞こえたのかを探してみるとそれは複製が持っている斧から。

 まさかな。

 そんなことを思いながら、斧を上から下に全力で振る。

 複製は斧の刃を上に向け、私の攻撃から身を守ろうとしたが、刃が真っ二つに割れ、そのまま攻撃を食らう。

 私の攻撃を食らった複製は見事に真っ二つになり、そのまま掻き消えた。

 この訓練をして分かったことがある。

 1つは複製が使う武器の強化だ。

 今回は武器が壊れて、途中で終わってしまう。

 だから、これは急ぐべきことだ。

 まぁ、今回の訓練で自分の知らない弱点をいくつか知ることが出来る。

 だから、その弱点を直しながら、完成を待てばいいな。

 後は新しい装備を作る必要がある。

 今まではこの手に馴染む斧一本で良かったが、戦闘時の選択の幅を増やすために。

 作る武器はあれがいいな。

 さて、早速動かなくては。

 やることは山積みだ。

 私はやることの優先順位を決めながら、屋敷に向かって歩き始める。

 今回の訓練の結果、私は多くのことを得たな。

 その得たことを1日でも早く会得する。

 そして、また課題を探し、会得を。

 これを繰り返し続ける。

 そうしなければ、私は守ることが出来ないだろう。

 リリとノラを。
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