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第十六話 依頼
しおりを挟む今日は王立学園が休みなので、リリと一緒に王都散策をしている。
リリと楽しく話しながら、魔法具店の前を通り掛かると丁度タイミングよくその店のドアが開いたのだ。
魔法具店から出てきたのは見知った人物だ。
「あ、クルスさん。お久しぶりです」
「久しぶりだな、ノラ」
ノラとの挨拶終えるとリリが私の袖を引っ張ってきたのだ。
「ク、クルス。そ、その人は?」
「ああ、リリ。ノラは中級悪魔から守った子なんだ」
「そ、そうなんだ。ズ、ズルいな」
「うん?何か言ったか?」
「ううん。何でもない」
最後の方は何も聞こえなかったな。
なんだろうなと思っているとリリは私の腕を掴んで、何処かに向かって歩き始めてしまった。
「す、すまない、ノラ」
「あ、はい」
直ぐに人混みによってノラの姿は見えなくなり、気付いた頃には裏路地にいたのだ。
「な、なんで呼び捨てにしていたの?」
リリは嫉妬するように頬を膨らませていたのだ。
「リリ。先に言っておくが、ノラとはそういった関係ではない」
「また他の女の人を呼び捨てにした」
そう言いながら、リリの頬は更に膨らみ、リスみたいになっている。
嫉妬しているリリには悪いが、可愛いと思ってしまう。
可愛いと思いながら、私はリリのことを抱きしめる。
いきなり抱きしめられたリリは驚いた表情を浮かべた後、顔を真っ赤にしていたのだ。
「ク、クルス。ど、どうしたの?い、いきなり抱きしめて///」
「すまない、リリ。心配させてしまって。だが、安心して欲しい。私がリリの隣から居なくなることは無いと」
「う、うん。それは信じていたけど、少しだけ不安になっちゃた」
リリは私のことを抱き締め返してくれる。
5分ぐらい抱き続けたら、私達は離れる。
離れた私はリリの方に手を伸ばすとその手をリリは取ってくれたのだ。
その後、私はリリとの王都散策を楽しむ。
その翌日に私はまた副学長に呼び出されたのだ。
副学長に呼ばれた部屋に向かうと3人の教師と4人パーティーの冒険者がいたのだ。
そして、ノラも。
「よし。クルス君が来たから、説明をしよう」
何だと思いながらも情報は必要なので、黙って聞くことにする。
副学長の話を纏めると王都から少し離れた森の中にある古い遺跡を調査をするそうだ。
教師達の護衛として冒険者がついてくるみたいだ。
そして、ノラがいるのは魔法具の技師としての意見が欲しいため。
私がここに呼ばれたのはノラの護衛としてだ。
同じ年の方が安心するとかいう理由で。
全てを話を終えた副学長は私の方を向いてくる。
「後になって悪いが、クルス君はこの依頼を受けてくれるか?」
断れるないだろ。
こんなに準備されている状況で。
「分かりました。依頼を受けしますが、1つ質問があります」
「どうぞ」
「王立学園は公欠になりますか?」
「なる」
「分かりました。それだけ分かれば、何も問題無いです」
私の返答を聞いた副学長は満足そうに頷く。
その後、解散となる。
面倒なことになったが、丁度いい。
あの副学長が何を考えているのかを知ることが出来るかもしれない。
だが、注意しなくてはいけない。
ノラ以外、全員敵だと思っていい。
だから、準備は怠らないようにしないとな。
何があってもいいようにあれも持っていこう。
本当はリリの為に購入した物だが、大いに役立つだろう。
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