16 / 65
第十六話 依頼
しおりを挟む今日は王立学園が休みなので、リリと一緒に王都散策をしている。
リリと楽しく話しながら、魔法具店の前を通り掛かると丁度タイミングよくその店のドアが開いたのだ。
魔法具店から出てきたのは見知った人物だ。
「あ、クルスさん。お久しぶりです」
「久しぶりだな、ノラ」
ノラとの挨拶終えるとリリが私の袖を引っ張ってきたのだ。
「ク、クルス。そ、その人は?」
「ああ、リリ。ノラは中級悪魔から守った子なんだ」
「そ、そうなんだ。ズ、ズルいな」
「うん?何か言ったか?」
「ううん。何でもない」
最後の方は何も聞こえなかったな。
なんだろうなと思っているとリリは私の腕を掴んで、何処かに向かって歩き始めてしまった。
「す、すまない、ノラ」
「あ、はい」
直ぐに人混みによってノラの姿は見えなくなり、気付いた頃には裏路地にいたのだ。
「な、なんで呼び捨てにしていたの?」
リリは嫉妬するように頬を膨らませていたのだ。
「リリ。先に言っておくが、ノラとはそういった関係ではない」
「また他の女の人を呼び捨てにした」
そう言いながら、リリの頬は更に膨らみ、リスみたいになっている。
嫉妬しているリリには悪いが、可愛いと思ってしまう。
可愛いと思いながら、私はリリのことを抱きしめる。
いきなり抱きしめられたリリは驚いた表情を浮かべた後、顔を真っ赤にしていたのだ。
「ク、クルス。ど、どうしたの?い、いきなり抱きしめて///」
「すまない、リリ。心配させてしまって。だが、安心して欲しい。私がリリの隣から居なくなることは無いと」
「う、うん。それは信じていたけど、少しだけ不安になっちゃた」
リリは私のことを抱き締め返してくれる。
5分ぐらい抱き続けたら、私達は離れる。
離れた私はリリの方に手を伸ばすとその手をリリは取ってくれたのだ。
その後、私はリリとの王都散策を楽しむ。
その翌日に私はまた副学長に呼び出されたのだ。
副学長に呼ばれた部屋に向かうと3人の教師と4人パーティーの冒険者がいたのだ。
そして、ノラも。
「よし。クルス君が来たから、説明をしよう」
何だと思いながらも情報は必要なので、黙って聞くことにする。
副学長の話を纏めると王都から少し離れた森の中にある古い遺跡を調査をするそうだ。
教師達の護衛として冒険者がついてくるみたいだ。
そして、ノラがいるのは魔法具の技師としての意見が欲しいため。
私がここに呼ばれたのはノラの護衛としてだ。
同じ年の方が安心するとかいう理由で。
全てを話を終えた副学長は私の方を向いてくる。
「後になって悪いが、クルス君はこの依頼を受けてくれるか?」
断れるないだろ。
こんなに準備されている状況で。
「分かりました。依頼を受けしますが、1つ質問があります」
「どうぞ」
「王立学園は公欠になりますか?」
「なる」
「分かりました。それだけ分かれば、何も問題無いです」
私の返答を聞いた副学長は満足そうに頷く。
その後、解散となる。
面倒なことになったが、丁度いい。
あの副学長が何を考えているのかを知ることが出来るかもしれない。
だが、注意しなくてはいけない。
ノラ以外、全員敵だと思っていい。
だから、準備は怠らないようにしないとな。
何があってもいいようにあれも持っていこう。
本当はリリの為に購入した物だが、大いに役立つだろう。
115
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
惣菜パン無双 〜固いパンしかない異世界で美味しいパンを作りたい〜
甲殻類パエリア
ファンタジー
どこにでもいる普通のサラリーマンだった深海玲司は仕事帰りに雷に打たれて命を落とし、異世界に転生してしまう。
秀でた能力もなく前世と同じ平凡な男、「レイ」としてのんびり生きるつもりが、彼には一つだけ我慢ならないことがあった。
——パンである。
異世界のパンは固くて味気のない、スープに浸さなければ食べられないものばかりで、それを主食として食べなければならない生活にうんざりしていた。
というのも、レイの前世は平凡ながら無類のパン好きだったのである。パン好きと言っても高級なパンを買って食べるわけではなく、さまざまな「菓子パン」や「惣菜パン」を自ら作り上げ、一人ひっそりとそれを食べることが至上の喜びだったのである。
そんな前世を持つレイが固くて味気ないパンしかない世界に耐えられるはずもなく、美味しいパンを求めて生まれ育った村から旅立つことに——。
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。
黒ハット
ファンタジー
ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる
規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。
【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー
不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました
今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った
まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います
ーーーー
間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします
アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です
読んでいただけると嬉しいです
23話で一時終了となります
異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト)
前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した
生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ
魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する
ということで努力していくことにしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる