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第十五話 感謝
しおりを挟む男爵になった私には家名をつける権限を得たのだ。
なので、私はクルス・ロガーと名乗ることにした。
ロガーというのは木こりを英語で指す言葉だ。
前世は林業従事者だったから、この家名にした。
まぁ、それなりに気に入っている。
あ、そうそう。
中級悪魔を倒してから、あの筆頭公爵家の次男は直接は関与しなくなったな。
と言ってもなんか工作はしているみたいだ。
何も結果に実を結んでないが。
王立学園が再開されてから直ぐに私はある人物の元に呼ばれたのだ。
それはこの王立学園の副学長だ。
副学長が私にどんな用だ?
そんなことを思いながら、呼ばれた応接室に向かうと見たことがある美少女がいたのだ。
そして、副学長の隣に座っている。
軽く副学長と挨拶した後、私はソファーに座る。
「ロガー男爵、ご紹介します。こちらに座っているのは私の娘のノラです」
そう言いながら、副学長は優しい笑顔を浮かべて、隣に座っているノラ嬢の方に視線を向ける。
何故か、その時の優しい笑顔が胡散臭いと思ってしまう。
「えっと、ロ、ロガー男爵。あの時は助けて下さってありがとうございました。あ、自己紹介がまだでした。私、ノラ・リバスタと言います」
「気にしないでください。あの状態で助けてるのは当たり前のことです。そして、私のことはロガー男爵ではなく、クルスと呼んで下さい。同じ学年なのですから」
「分かりました、クルスさん。なら、私のことはノラと呼び捨てにして下さい」
ノラは嬉しそうな表情を浮かべていたのだ。
「分かりました、ノラ」
すると、ノラは微笑む。
「はい」
ノラがそんな笑顔を浮かべていると副学長はノラの方を向く。
「良かったな、ノラ」
「うん、お父様」
ノラは本当に嬉しそうに笑っている。
そのノラに副学長は優しい笑顔を浮かべていたのだ。
その後、少し世間話をしてから応接室を後にする。
自身の教室でもあるSクラスに向かいながら、先程の違和感を考える。
やっぱり違和感を感じるな。
副学長がノラに向けるあの優しい笑顔からは。
まるで、何かの目的の為に育てるもの向けるような表情だった。
例えるなら、実験用のモルモットか爬虫類を飼っている者に餌として育てられるマウスのようだ。
それぐらいの違和感を感じる。
少し注意したほうがいいかもしれないな。
ノラには恋愛感情はないが、1度救ったのだ。
救った責任は果たさなければいけない。
それが男というものだ。
それにあの副学長が何をするのかも気になるというものもある。
もし、もしもだ。
それがリリが少しでも危険な目に合う可能性があるなら。
私は一切の容赦をしない。
そのためにリリの婿になることが決まってから私は斧を鍛え続けたのだ。
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