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第十四話 男爵に
しおりを挟むあの後、私は教師殺人の罪で訴えられそうになったが、数多くの証言とその場の光景を保存できる魔法具があったため私は無罪となったのだ。
まぁ、最後まで私は有罪だと騒ぎたてていた者達はいたが。
騒ぎたてていたのはあの筆頭公爵家の次男とその協力者達だ。
何の証拠も無かった為、特に何も起きなかったな。
取り調べの時に知ったが、どうやら私が倒したあの存在は中級悪魔と呼ばれているようだ。
だから、頭から二本の角を伸ばし、悪魔の尻尾を持っていたのか。
そして、私は今シルクで作られた服に身を包み、王城の謁見の間に来ている。
私の目の前にはこの国の国王陛下が前に立っている。
「中級悪魔を倒したクルスよ。王立学園の講堂内の生徒達を救ったことを称え、褒美を与える。お主には褒美として男爵の位を授ける」
だ、男爵の位だと?
私はリリの婿としてバースナ子爵家に継ぐことになっている。
「し、失礼ですが、私はバースナ子爵家のリリアナ・バースナ嬢と婚約を結んでおります。私が婿になるというものを」
「心配しなくてもいい。男爵の位を授かっても何も問題無い。そのままリリアナ・バースナ嬢との婚約を継続出来る」
リリとの婚約を継続出来るなら、受け入れた方がいい。
国王陛下も中級悪魔を倒した私に褒美を与えたいという意図もあるしな。
「分かりました。男爵の位を謹んでお受けいたします」
男爵の位を受け入れた私は王城を後にし、屋敷に帰る。
屋敷に到着すると庭には不安そうな表情を浮かべたリリがソワソワしていたのだ。
私の無事な姿を見たリリは安心したような表情を浮かべ、私の方までやってきたのだ。
「ク、クルス。無事で良かった」
「リリ、私は無事だ。そして、国王陛下から褒美を貰ったよ」
「褒美?」
「ああ、褒美だ。この褒美はバースナ子爵と一緒の時に教えるよ」
私はリリの方に手を伸ばす。
リリは私の手を取ってくれたのだ。
私はリリのことをエスコートして、バースナ子爵がいる執務室に向かう。
執務室のあるソファーに座り、褒美として男爵を国王陛下から授かったことを話す。
リリは嬉しそうな表情を浮かべていたが、バースナ子爵は少し不安そうな表情を浮かべていたのだ。
「ク、クルス。1つ聞きたいが、男爵の位を得ても今までと変わらないか?」
質問の意味が分からないのかリリは不思議そうな表情を浮かべている。
「安心して下さい、これからも変わりませんから。リリとの婚約とこのバースナ子爵家の婿になることは何も変わらないです」
「それなら良かった」
バースナ子爵が安心したような表情を浮かべているとリリがいきなり立ち上がる。
「ど、どうゆうこと?ぼ、僕との婚約が変わらない?せ、説明して、クルス」
リリの目からは少しだけとはいえ涙を流していたのだ。
私はリリのことを落ち着かせながら、これからも何も変わらないことを説明する。
リリが納得するまで30分ぐらい掛かってしまう。
何とか納得くれたが、何故こうなったんだ?
私はリリを膝の上に乗せ、リリの頭を撫で続けている。
少しでも止めれば、リリは私の方を向いてくる。
「ぼ、僕が安心するまで、頭を撫で続けて」
私は可愛いと婚約者のお願いを断ることなど出来るはずもなくリリの頭を撫で続ける。
バースナ子爵は後は若い二人でとか言い残して、何処かに行ってしまう。
多分、夕食ぐらいまでだろう。
とても嬉しいことなんだが、リリのいい匂いがして理性を保たなければいけない。
リリからしたらただ私に甘えているだけなのだが、中々厳しい。
果たして私はリリが成人するまで手を出さずにいられるのだろうか?
それは今は分からないが、取り敢えず今は耐えることだな。
あの後、私は夕食の時間になるまで耐え続けたのだ。
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