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第二十九話 褒美
しおりを挟む突然現れた悪魔王は嬉しそうな表情を浮かべながら、手を叩いていたのだ。
「素晴らしい。強いとは思っていたが、まさか四天王の1人を倒すとは。しかも自らの右手を犠牲にした攻撃で」
その後、3分ぐらい手を叩いていたが、満足したのか手を叩くのをやめる。
その行動で心から私のことを称賛しているだと感じることが出来たのだ。
「早く蘇生しろ」
その言葉と共に真っ二つになったリフレーヌ殿の体が元に戻り、目に生気が戻っていたのだ。
「どうだ?リフレーヌ」
「素晴らしいと思います」
「そうだな」
これは素直に嬉しいな。
強者からこのような評価を貰えるなんて。
「1つアドバイスをしよう。他に切り札を増やせ。あの技と後ろの変わった斧だけでは初見しか通用しない」
それは一理なるな。
後で何かをつくるか。
元の世界の戦闘技術からまた参考に。
そして、あの技も完成させないと。
やることは多いな。
「そうだ。それなら右手が無いと不便だな」
悪魔王が何かを唱えると切られた右手が生えてきたのだ。
私は思わず笑ってしまう。
流石、悪魔王だな。
王都で最高品質のポーションを使っても傷口を塞ぐ程度だったのに1つの魔法で右手が生え、痛みも完全にひく。
一応、右手を握ったり開いたりしてみたが、特に問題は無い。
「すまないが、ある魔法を掛けさせて貰う」
悪魔王はさっきと違う魔法を唱える。
どうやら魔法を掛けられたみたいだが、特に体に問題は無い。
「何の魔法を掛けたのですか?」
「今回のことを喋れなくする魔法だ。ちなみに言葉が出なくなるだけだ。これはルールだから、仕方ないと思ってくれ」
「分かりました」
「最後にこれは褒美だ。我々を楽しませてくれたからな」
悪魔王が何かを渡してくる。
それは何かの魔法具を渡してきたのだ。
しかも同じ魔法具が3つ。
この魔法具は何だと思っていると私の周りは光に包まれる。
「また会う機会を願っている、クルスよ」
その言葉と共に私は目も開けられない程の光に包まれたのだ。
その光が晴れると私はあまり来ない場所にいたのだ。
それはクリースという女神の教会。
ちなみにこの世界は多神であり、121人の神がいると言われている。
そんなことを思いながら、周りを見渡していると私は不覚にも驚いてしまう。
だって、そこにはリリ達がいたのだ。
私の姿を見たリリ達は驚いた表情を浮かべた後、目から涙を流しながら、抱きついてきたのだ。
私は驚きながらもリリ達のことを抱きしめる。
2人のことを抱きしめた私は温かい体温を感じたのだ。
これが何よりも褒美だな。
2人のことをまた抱きしめられて。
私達は暫くの間、抱き合っていたのだ。
暫く経った後、私達はクリース教の神官から生暖かい視線を受けていることに気が付いたのだ。
それに気が付いた私達は離れ、クリース教の神官に謝ろうとしたが、私が悪魔の宴に参加していることを知ったいたので大丈夫と言ってもらったのだ。
クリース教の教会を出た後、私達は一緒の馬車でバースナ子爵家の屋敷に帰る。
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