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第十話 ダンジョンで

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 王立学園に入学してから、1ヶ月が経つ。

 今日は王立学園内にあるダンジョンに潜る日だ。

 本当なら5人一組でダンジョンに潜るが、人数が足りないとか適当な理由をつけられ私は1人だ。

 そして、危険を無くすために通常なら上級生が3人つくはずなのに、私には人が足りなくて1人もつかなかった。

 おかしいな。

 これは王立学園側も関わっているな。

 そんなことを思っていると視線を感じる。

 視線を感じた方を向いてみるとこの国の筆頭公爵家の次男だったのだ。

 その視線は何かを企んでいることがよく感じ取れる。

 ダンジョンの中で何かあるかもな。

 こうなったら、全てが信頼出来ないな。

 念の為、持ってきておいて良かったな。

 手に馴染む斧と各種回復アイテムを入れてある魔法袋を。

 後は王立学園から支給して貰った剣も確認してみるか。

 私は剣を抜いてみる。

 一見普通の鋳造の剣に見えるが、よくよく見てみれば細工されているな。

 ある程度戦えば、壊れるように。

 決まりだな。

 王立学園側も関わっているな。

 いや、待て。

 王立学園側ではなく、王立学園側にあの筆頭公爵家の次男が混ざっている場合があるな。

 まぁ、それだとしても信頼度は低いがな。

 さて、私に割り当てられた順番は最後だからゆっくりと待つとしよう。

 いや、今日はリリと出掛ける予定があるからそれについて考えながら待つか。

 リリと出掛ける予定のことを楽しみながら待っていると私の順番が回ってくる。

 私がダンジョンの入口に向かっていると1番最初にダンジョンの中に入り、戻ってきた筆頭公爵家の次男が私にニヤニヤとした笑いを向けていたのだ。

 今から起きるであろうことを予想して笑っているのだろう。

 だが、そんなことは起きないのにな。

 そんなことを思いながら、私はダンジョンの中に入る。

 今回の授業はダンジョンの最下層にある水晶を回収して、ダンジョンの入口まで帰ることだ。

 まぁ、最下層と言っても5階ぐらいしかないけど。

 さっさと水晶を回収して帰るか。

 そんなことを思っていると魔物が私のことを襲ってくる。

 まずは鋳造の剣で戦うか。

 このダンジョンはそこまで魔物が強くないのであまり慣れていない剣でも何も問題無い。

 だが、何度か戦っていたら案の定剣は使い物にならなくなってしまう。

 壊れて使い物にならなった剣を直ぐに地面に捨て、魔法袋から斧を取り出す。

 斧に持ち替えるのと同時に魔物が襲ってきたが、この斧は手に馴染んでいるため何事もなく対処出来たのだ。

 その後、私の得意武器でもある斧で魔物を倒して、ダンジョンの最深部まで到着する。

 最深部には最後の1つの水晶が置かれている。

 私はそれを回収する。

 よし、後は帰るだけか。

 それにしても驚くだろうなあの筆頭公爵家の次男は。

 いや、協力していた者達もな。

 そんなことを思いながら、魔物を倒して帰っているとダンジョンの出口まで到着していたのだ。

 もうか。

 まぁいい。

 ダンジョンを出ようか。

 私がダンジョンから出ると筆頭公爵家の次男とその協力者達は驚きの表情を浮かべている。

 「お、お前。な、なんで」

 「なんでとは?」

 「い、いや何でもない。け、剣はどうした?」

 「剣ですか?元々壊れるように細工がしてあったようで、途中で壊れてしました。なので、私が1番得意な格闘で今回の授業を終えました」

 そう言い、私は水晶を取り出す。

 その水晶を見た筆頭公爵家の次男とその協力者達は分かりやすく悔しそうな表情を浮かべていたのだ。

 おいおい、それぐらいの表情は隠しておけよ。

 バレるぞ。

 なんか警戒して馬鹿馬鹿しくなったな。

 こいつらのことを考えるだけ無駄だな。

 この授業を終えた後、私はリリとの出掛けを楽しんだ。

 
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