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第九話 学園に
しおりを挟むあれから時が経ち、十六歳になっている。
十六歳になった私はリカシー王国の王立学園の制服に身を包んでいる。
そして、そんな私の前には同じ学園の制服に身を包んだ美少女が座っている。
私とその美少女は一緒の馬車に乗り、王立学園に向かっている。
私の目の前の美少女は嬉しそうな表情を浮かべながら、馬車の外を見ている。
そんな美少女のことを見ていると馬車が王立学園に到着したのだ。
到着したら、私は美少女よりも先に馬車を降り、美少女の方に右手を伸ばす。
「お嬢、いえ、リリ。お手をどうぞ」
「ありがとう、クルス。それにしてもまた僕、ううん、私のことをお嬢様って」
「そこまで長く無かったですけど、染み付いてしまって」
理由を知ったリリは私の右手をとってくれる。
リリのことをエスコートして、馬車から降りる。
そのままエスコートしながら、王立学園の中に向かう。
リリのクラスまでエスコートしているとリリが話しかけてきたのだ。
「ク、クルスはお昼どうするの?」
「リリと一緒に食べようと思っているよ。リリは大丈夫か?」
「うん、大事だよ。多分、僕には友達なんて出来ないと思うから」
そんなことを話しているとBクラスの前に到着したのだ。
ここはリリのクラスだ。
なので、私はリリの手から手を離す。
「リリ。お昼に迎えに来るよ」
「うん。待ってる」
私はリリと別れ、自身のクラスに向かう。
自身のクラスの前に到着し、クラスの中に入ると話し声が止まったのだ。
まぁ、そうなるよな。
リリの婿となると決まっている者が元奴隷だからな。
現に嫉妬や殺気に近いような視線を向けられている。
私はそれらの視線を無視し、自身の席に座る。
婿になると決まった私は直ぐに教育が始まったが、何も問題が無かった。
前世では高校卒業をして、林業に従事していたからな。
この世界は前世よりもそこまで教育の質が高くない。
だから、何も苦戦することは無かった。
そして、王立学園の試験では満点を取れる程簡単にだったな。
だが、首席だと色々と面倒くさいことになると思い、8割ぐらいの点数になるように抑えたのだ。
抑えたのだが私は王立学園の中で1番高いクラスに割り当てられてしまう。
そして、十位だった。
なので、リリと離れてしまったのだ。
そんなことを考えていると担任の先生がやってくる。
簡単な紹介と説明が終わると直ぐに授業が始まる。
私はその授業を聞き流しながら、配られた教科書をみてレベルを確認したのだ。
簡単過ぎるな。
3年間の学ぶ内容は全部習ったことがある。
授業は適当に過ごして、リリとの学園生活を過ごすそうか。
そんなことを思いながら、私は授業を聞き流す。
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