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第六話 森の主

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 あれから御館様はシルクの事業を成長させ、領地内を発展させたのだ。

 この世界にもシルクは存在しているが輸入品だけなので、相当売れているみたいだ。

 なので、私以外の使用人を雇うようになったのだ。

 そして、食料も取る必要が無くなり、今までしていた仕事はしなくなった。

 その変わり、私に振り当てられたのはシルクの事業の管理だ。

 私のような奴隷が管理をしているから下に見られるようなこともある。

 まぁ、これは仕方ないよな。

 最初の方は忙しがったが、ある程度軌道にのると仕事が無くなる。

 偶に非常事態が起きるのに対処するだけになってしまう。

 なので、私は暇の時間で斧で訓練をしている。

 この斧は手に馴染むためもの凄くいい感じだ。

 いつも通り、シルク工場に戻ると管理人と名乗る者がいたのだ。

 その管理人という者に奴隷は要らないと言われ、追い出されてしまう。

 うーん。

 どうしようか?

 御館様に報告、いや、後でいいか。

 なんか分からないが森の中で斧を振りたい気分だ。

 だから、斧を持って森に向かおう。

 鼻歌を歌いながら森の奥に進んでいると何処か大きな足音が聞こえてくる。

 相当大きい生物だな。

 そんなことを思っていると近くの草むらが大きく揺れたのだ。

 私は斧を草むらが大きく揺れた方に構える。

 大きく揺れた草むらから出てきたのだ。

 体長5メートルを超える程の猪が。

 まるで森の主だな。

 そんなことを思いながら、森の主を見ていると突撃してきたのだ。

 瞬時に横に避けると森の主は止まらずに通り過ぎる。

 そして、そのまま木にぶつかって止まったが、ぶつかった木は折れてしまう。

 もの凄いな。

 あの体格で突撃されればひとたまりもないな。

 そんなことを思っていると山の主が私の方に向き直り、突撃しようとしていたのだ。

 私は左下に斧を構える。

 構えた後に山の主は突撃してくる。

 山の主が私の目の前までやってきたのだ。

 私は斧を左下から右上に振り上げたのだ。

 山の主はそのまま私の横を通り過ぎた後、斜めに切り裂かれ、力無く地面に倒れ込む。

 私は斧を振り、斧についた血を地面に捨てたから山の主の方を向く。

 山の主の目からは光が消え、明らかに命の灯火が消えていると確信出来る。

 よし、倒せたな。

 これは御館様にいいお土産が出来たな。

 そんなことを思いながら、御館様から貰った魔法袋の中にしまう。

 ついでに斧もしまっておくか。

 全てをしまったら、屋敷に帰る。

 屋敷に帰るといつもよりも騒がしかったのだ。

 使用人達が私のことを見つけると騒ぎ始めたのだ。

 なんだと思っていると御館様が小走りでやってきたくる。

 「何処にいたんだ?」

 御館様の言葉からは少しの怒りを感じることが出来る。

 「管理人という者にシルク工場を追い出されたので森に行ってました。そして、森の中で魔物を討伐し、屋敷に戻ってきました」

 「そうか。で、どんな魔物を討伐したのだ?」

 「ここで出しても」

 御館様は頷いて答えてくれる。

 許可が取れたので、私は山の主を出す。

 私が討伐した山の主を見た御館様は驚きを露わにしていたのだ。

 「こ、これはA級の魔物ではないか」

 これはA級の魔物なのか。

 だから強かったのか。

 そんなことを思っていると私の肩には御館様の両手が掴まれる。

 「クルス。少し話を聞かせて貰うぞ」

 「あ、はい」

 私はそう言いしか無かった。

 後で御館様に説明することになったのだ。

 あ、ちなみにシルク工場で管理人と名乗っていた者は御館様によって追い出された。

 御館様がもの凄く怒っていたらしい。

 自身の指示とは違うことをしたみたいだ。

 御館様の指示したのが私の補助。

 だから、賠償金の支払いを命じられてもいたな。
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