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第三話 仕事
しおりを挟むそれから、私は屋敷の中で働き始める。
私が主にしているのは屋敷の中の掃除だ。
ここで働いてから2ヶ月が経ったが、この屋敷には使用人と呼ばれる者達は全くいない。
執事すらもだ。
雇われている使用人は朝食と夕食だけを作りに来る料理人だけ。
それ以外は誰もいない。
だから、安い子供の私を購入したのか。
1度購入したら、ほぼお金が掛からないからな。
そんなことを考えながら、いつも通り屋敷内を掃除しているとあるものを見つける。
少し埃が掛かった補修道具と必要な材料が置かれていたのだ。
なんでこんなところに。
埃の積り具合的には8ヶ月前ぐらいかな。
そうか。
冷害が始まった時か。
元々補修予定だったが、資金的に中断になったのだろう。
折角だから、修理するか。
そうすれば、待遇が良くなることを期待して。
前は林業を仕事にしていたから、木材の加工等は出来るので大工の真似事ぐらいは出来る。
そう思いついた私は御館様の部屋に向かう。
御館様の部屋の前に到着したら、扉をノックする。
入室の許可が出たので、御館様の執務室に入室したのだ。
御館様に一礼してから、先程思いついたことを話す。
話し終わった後、御館様は驚いた表情を浮かべていたのだ。
「それは本当か?」
「はい」
「そうか、なら頼みたい。私では修繕出来ないからな」
私は一礼してから執務室を退室し、先程見つけた修繕道具のところに向かう。
到着したら、修繕道具と必要な材料を持ち、比較的に酷くない場所に向かう。
まずは簡単に修繕出来る場所からだ。
いつもの労働時間の間に何とか終えることが出来たのだ。
そこまで酷くないから1日で終えられたな。
これからは掃除が終わったら、少しずつ修繕していこう。
あれから2ヶ月が経つ。
地道に修繕していたら、室内の修繕は完了したのだ。
後は外壁の苔や草と屋根だな。
まずは外壁から綺麗にするかと思っていると御館様に呼ばれた。
「よく来てくれた、クルス」
「それは構いませんが、何用ですか?」
「まずは屋敷の修繕御苦労だった」
「ありがとうございます、御館様」
「それで呼んだのは仕事の変更を伝えるためだ」
「変更ですか?」
「ああ、変更だ。屋敷の外の修繕が終わるまで室内の掃除はしなくていい。だから、修繕に専念してくれ」
「分かりました、御館様。直ぐに取り掛からせて頂きます」
私は執務室から退室し、外の修繕を始める。
大体1ヶ月で外の修繕が完全に完了したのだ。
これで全部終わったな。
修繕という仕事を終えた私はいつもの食事が気持ち豪華になり、量も増えたのだ。
修繕やって良かったな。
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