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第二話 購入される
しおりを挟むリカシー王国のある街に到着し、馬車が動くのを待っていると突然檻が開いたのだ。
開いた檻から奴隷商人が入って来て、私の前までやってくる。
「おい、降りろ」
そう言い、奴隷商人は私の手を掴んで強制的に立ち上がらせてきたのだ。
降りろだと?
まさか、売れたのか。
そんなことを思っていると私は外に出される。
そのまま、手錠と逃亡防止用の足枷が外されたのだ。
外された後、私はある中年男性の前まで連れて行かれる。
その中年男性の私を購入した奴隷商人よりはいい服に身を包んでいたのだ。
商人ではないな。
多分、貴族。
だが、そこまで金持ちではなさそうだ。
金持ちなら、私みたいな子供の奴隷ではなく、成人した大人の普通に雇えばいい。
それに、貴族は自尊心が高いから無理をしてでも今身に包んでいる服よりもいい物を着るはずだ。
そんなことを考えていると契約が既に終わっていたのだ。
奴隷商人は私が乗ってきた檻つきの馬車で何処かに向かって行ってしまう。
つまり、私は貴族に買われたのか。
「では、ついてきてくれ」
私は黙って頷く。
それを確認した貴族は何処かに向かって歩き始める。
逆らうことは出来ないので黙って私を購入した貴族の後についていく。
歩いている途中で疑問に思う。
貴族なのに馬車に乗らないのかと。
もしかして、近くに馬車を待機させているのか?
そんなことを思っていたが、ただ歩き続けるだけだ。
20分ぐらい歩き続けると古い屋敷に到着する。
壁には苔や草がびっしりと生え、しかも所々傷んでいる。
これは凄いな。
まさか、ここではないよな。
いくらなんでもこの屋敷に貴族が住むとは思えない。
私を売った男爵家でもここまで酷く無かったぞ。
そんなことを思っていると私を購入した貴族は迷わずこの屋敷の敷地内に入っていく。
本当にここかよ。
私はついていくことしか出来ないので、貴族に続いてこの屋敷の敷地内に入る。
貴族は屋敷の前で止まり、私の方を振り向いてきたのだ。
「まずは自己紹介をしよう。私はバースナ子爵家の現当主だ。そして、君は購入した者だ」
子爵家だと。
男爵家かと思ったが、まさか子爵家だったとわ。
そんなことを思っているとバースナ子爵家が話し始めたのだ。
「君の名前を聞かせて貰っても?」
「私はクルスと言います。当主様」
「当主様とか暑苦しい呼び方はやめてくれ。御館様と呼んでくれ」
「分かりました、御館様」
「宜しい。では、これから君の寝床に案内する。その後、仕事について説明させて貰う」
その後、私は屋敷から3分ぐらいのところにある小屋に案内されたのだ。
その小屋に案内された後、仕事について説明される。
その説明が終わると1人になれた。
この小屋はそこまで広くないが、トイレもある。
風呂はないが、普通に生活は出来るぐらいだ。
これから私の奴隷生活が始まる。
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