2 / 65
第二話 購入される
しおりを挟むリカシー王国のある街に到着し、馬車が動くのを待っていると突然檻が開いたのだ。
開いた檻から奴隷商人が入って来て、私の前までやってくる。
「おい、降りろ」
そう言い、奴隷商人は私の手を掴んで強制的に立ち上がらせてきたのだ。
降りろだと?
まさか、売れたのか。
そんなことを思っていると私は外に出される。
そのまま、手錠と逃亡防止用の足枷が外されたのだ。
外された後、私はある中年男性の前まで連れて行かれる。
その中年男性の私を購入した奴隷商人よりはいい服に身を包んでいたのだ。
商人ではないな。
多分、貴族。
だが、そこまで金持ちではなさそうだ。
金持ちなら、私みたいな子供の奴隷ではなく、成人した大人の普通に雇えばいい。
それに、貴族は自尊心が高いから無理をしてでも今身に包んでいる服よりもいい物を着るはずだ。
そんなことを考えていると契約が既に終わっていたのだ。
奴隷商人は私が乗ってきた檻つきの馬車で何処かに向かって行ってしまう。
つまり、私は貴族に買われたのか。
「では、ついてきてくれ」
私は黙って頷く。
それを確認した貴族は何処かに向かって歩き始める。
逆らうことは出来ないので黙って私を購入した貴族の後についていく。
歩いている途中で疑問に思う。
貴族なのに馬車に乗らないのかと。
もしかして、近くに馬車を待機させているのか?
そんなことを思っていたが、ただ歩き続けるだけだ。
20分ぐらい歩き続けると古い屋敷に到着する。
壁には苔や草がびっしりと生え、しかも所々傷んでいる。
これは凄いな。
まさか、ここではないよな。
いくらなんでもこの屋敷に貴族が住むとは思えない。
私を売った男爵家でもここまで酷く無かったぞ。
そんなことを思っていると私を購入した貴族は迷わずこの屋敷の敷地内に入っていく。
本当にここかよ。
私はついていくことしか出来ないので、貴族に続いてこの屋敷の敷地内に入る。
貴族は屋敷の前で止まり、私の方を振り向いてきたのだ。
「まずは自己紹介をしよう。私はバースナ子爵家の現当主だ。そして、君は購入した者だ」
子爵家だと。
男爵家かと思ったが、まさか子爵家だったとわ。
そんなことを思っているとバースナ子爵家が話し始めたのだ。
「君の名前を聞かせて貰っても?」
「私はクルスと言います。当主様」
「当主様とか暑苦しい呼び方はやめてくれ。御館様と呼んでくれ」
「分かりました、御館様」
「宜しい。では、これから君の寝床に案内する。その後、仕事について説明させて貰う」
その後、私は屋敷から3分ぐらいのところにある小屋に案内されたのだ。
その小屋に案内された後、仕事について説明される。
その説明が終わると1人になれた。
この小屋はそこまで広くないが、トイレもある。
風呂はないが、普通に生活は出来るぐらいだ。
これから私の奴隷生活が始まる。
142
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
毎日スキルが増えるのって最強じゃね?
七鳳
ファンタジー
異世界に転生した主人公。
テンプレのような転生に驚く。
そこで出会った神様にある加護をもらい、自由気ままに生きていくお話。
※ストーリー等見切り発車な点御容赦ください。
※感想・誤字訂正などお気軽にコメントください!
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる