1 / 65
第一話 奴隷に
しおりを挟むわ、私は死んだはずだ。
林業に従事していた際に倒木に押し潰されて私は。
あの時、確実に。
お、落ち着け。
ま、まずは現状を把握しろ。
天井は病院の真っ白ではないし、周りの壁は中世みたいな雰囲気を感じる。
明らかに現代とは考えにくいな。
そんなことを思いながら、周りを観察していると鏡を見つける。
そして、その鏡に映った自身はなんと赤ん坊の姿だったのだ。
私は驚いて固まってしまう。
つ、つまり、私は転生したのか。
前世の記憶を持ったまま。
さて、どうするべきか。
赤ん坊の間は時間だけはあるからゆっくりと考えようか。
私が転生したのはリカシー王国の辺境にある貧乏男爵家の四男として転生したのだ。
そして、私の転生先はあまりいいものでは無い。
家自体が貧乏なのでいずれ家を継ぐ長男に金を掛けている。
その予備の次男、その予備の予備の三男。
私は四男なので、予備の予備の予備だ。
だから、生きるのに必要なだけの衣食住しか提供されなかった。
親からの愛情も受けずに私は育つ。
まぁ、前世の記憶を持っているから親からの愛情なんて必要無いけどな。
成人したらこの家を直ぐに出ていって、普通に街で働くか。
そのために体力とか色々と鍛えておこう。
直ぐに行動を始め、あっという間に10歳になってしまう。
後、8年だなと思っていると非常事態が起きる。
冷害が発生したのだ。
その影響でこの世界の主食でもある麦が育たなくなり、価格が高騰したのだ。
元々貧乏なのに私の家は更に困窮していく。
そんな中、食い扶持を減らすために私は奴隷商人に売られたのだ。
両手には手錠がつけられ、右足には逃亡防止用の足枷をつけられ。
普通の時期なら、商人の何かしらの労働力として買われる。
だが、問題が生じたのだ。
この冷害は殆どの国で起きており、奴隷の数が劇的に増えたのだ。
そして、全体的な経済が悪くなってしまい商人も奴隷を購入する余裕が無い。
その結果、奴隷がもの凄く売れ残ったのだ。
有能の奴隷はそれでも売れたが、普通の労働力でしか使えない奴隷は売れ残っている。
しかも大量に。
大幅に安くしても子供の奴隷は売れ残る。
だから、最低限の人権が保証することが決まっている奴隷は奴隷商人達にとって大きな負担となったのま。
そのため、奴隷商人達は早く売ろうと躍起になっている。
私を買い取った奴隷商人も躍起になっていた。
元貴族なので、普通の子供の奴隷よりも高いがこの不景気だ。
私も他の子供の奴隷と同じ値段で売られている。
そして、私を買い取った奴隷商人は奴隷を売るために様々な国を渡り歩いたのだ。
私達奴隷を檻つきの馬車に乗せて。
そして、私の生まれたリカシー王国から2つ離れたリースナ王国に到着したのだ。
119
お気に入りに追加
95
あなたにおすすめの小説
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
貴族に転生してユニークスキル【迷宮】を獲得した俺は、次の人生こそ誰よりも幸せになることを目指す
名無し
ファンタジー
両親に愛されなかったことの不満を抱えながら交通事故で亡くなった主人公。気が付いたとき、彼は貴族の長男ルーフ・ベルシュタインとして転生しており、家族から愛されて育っていた。ルーフはこの幸せを手放したくなくて、前世で両親を憎んで自堕落な生き方をしてきたことを悔い改め、この異世界では後悔しないように高みを目指して生きようと誓うのだった。
【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー
不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました
今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った
まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います
ーーーー
間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします
アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です
読んでいただけると嬉しいです
23話で一時終了となります
規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
惣菜パン無双 〜固いパンしかない異世界で美味しいパンを作りたい〜
甲殻類パエリア
ファンタジー
どこにでもいる普通のサラリーマンだった深海玲司は仕事帰りに雷に打たれて命を落とし、異世界に転生してしまう。
秀でた能力もなく前世と同じ平凡な男、「レイ」としてのんびり生きるつもりが、彼には一つだけ我慢ならないことがあった。
——パンである。
異世界のパンは固くて味気のない、スープに浸さなければ食べられないものばかりで、それを主食として食べなければならない生活にうんざりしていた。
というのも、レイの前世は平凡ながら無類のパン好きだったのである。パン好きと言っても高級なパンを買って食べるわけではなく、さまざまな「菓子パン」や「惣菜パン」を自ら作り上げ、一人ひっそりとそれを食べることが至上の喜びだったのである。
そんな前世を持つレイが固くて味気ないパンしかない世界に耐えられるはずもなく、美味しいパンを求めて生まれ育った村から旅立つことに——。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる