魔王の側近はお暇を頂く

竹桜

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第十一話 責任

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 いつもの日常に戻った。

 のだが、何故か定時後にカリーサに呼ばれたのだ。

 しかも場所は魔王城の屋上だ。

 本来は許可をとらないといけないのだが、カリーサが許可を取ったようだ。

 何の用なのだろう?

 そんなことを思いながら、私は魔王城の屋上に向かった。

 魔王城の屋上に到着すると既にカリーサが待っていたのだ。

 「すまない、待たせた」

 「い、いえ、大丈夫です」

 既に待っていたカリーサは何故か顔が少し赤かったのだ。

 「それで、何の用なのだ?」

 「そ、そのことを話す前に少し待って下さい」

 そう言い、カリーサは何かの魔法を展開させたのだ。

 「これは防音の結界か?」

 「は、はい。魔法を使う許可は取っています」

 何故、この魔法を使うんだ?

 今から言う事は周りに聞かれたくないなのか?

 「そ、それでお聞きして欲しいことを今からお話します」

 その時のカリーサの顔は真っ赤になっていたのだ。

 「グ、グリークス様。せ、責任を取ってください」

 私は驚きのあまり固まってしまった。

 せ、責任?

 「す、すまないが、確認させてくれ。その責任というのは」

 「私を助けてくれたことです」

 た、確かにそれは責任をとらないといけないな。

 「ち、ちなみに責任のとりかたは?」

 「わ、私との、け、け、結婚です」

 け、結婚?

 私がカリーサとの?

 「し、失礼かもしれないが、カリーサは私に好意を抱いているのか?」

 「は、はい。秘書官に成れたのは私の力だと言ってくれた時からずっと好きでした」

 その言葉に私は困惑することしか出来なかった。

 そんな前から私に好意を抱いていたのか?

 「突然のことだから、少し時間をくれないか?」

 「も、勿論です。明日は夜は何も無いので、答えが決まりまりましたら、声を掛けて下さい」

 そう言い残し、真っ赤な顔のまま、屋上から去ってしまった。

 私は暫く固まった後、防音の結界を解除した後、色々と考えながら家に帰った。

 鍵でドアを開けると家の奥からバタバタという音が聞こえ、リーフがやってきたのだ。

 「おかえりなさい、グリークスさん。今日は少し遅かったですね」

 「少し仕事が長引いてしまってな」

 「そうなんですか」

 その後、いつもの夜を過ごしていたのだが、リーフにもあのことを相談しよう。

 リーフにもカリーサのことを相談したのだが、相談し終えた後、いきなり席から立ち上がったのだ。
 
 「に、2番目でもいいので、わ、私もグリークスさんと結婚したいです」

 け、結婚?

 リ、リーフもか?

 そんなことを思っているとリーフは話し続けたのだ。

 「わ、私がグリークスさんの養子を嫌がったのは好意を抱いていたからです」

 そう言い、リーフは私の目を見てきたのだ。

 その目からは嘘を感じなかった。

 こ、これは覚悟を決めないといけないな。

 「リ、リーフの気持ちは分かった。明日、朝早くに用事を済ませてくる。その後に返答する」

 「わ、分かりました。で、では私はこれで」

 そう言い、リーフは自室に走り去ってしまった。

 部屋に残されたのは私だけだ。

 考えるのは後でだな。

 今日は早く休んで、魔王様のところに向かわないとな。

 そう思いながら、私は寝る準備を始めた。
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