魔王の側近はお暇を頂く

竹桜

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第七話 報告

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 リーフと暮らし始めてから半年が経った。

 いつもと変わらない業務をしていた私は、いや、私達は魔王様に呼ばれたのだ。

 しかも緊急事態だと付け加えられて。

 私が謁見の間に到着する頃には多くの者達が集まっていた。

 そして、私が謁見の間の定位置についてもまだまだ魔族はやってくる。

 呼ばれている者達の中には人間の国に最も近い領地を治めている領主までもいた。

 これは相当な緊急事態だな。

 そんなことを思っていると魔王様がやってきたのだ。

 魔王様が現れると同時に謁見の間にいる者達は一斉に臣下の礼をとったのだ。

 「よい」

 魔王様がそう言うと一斉に臣下の礼を解いたのだ。

 「まずはお前達に感謝する。いきなりの招集に答えてくれて」

 そう言い、魔王様は我々を見渡したのだ。

 「さて、本題に入ろう。皆、2ヶ月前に人間用の要塞が勇者パーティーによって占領されたのは知っている筈だ」

 その言葉に謁見の間にいる者達は頷いて答えたのだ。

 そう。

 勇者パーティーが人間用の要塞を攻略したのだ。

 だが、そのことはいつも通りのことなんでどうでもいいと思っていた。

 それで、何か問題でもおきたのか?

 「今代の勇者は今までと違うらしい。どうやら、人間用の要塞だと気づき、設置している適当な幻影にも気が付いたみたいだ」

 その言葉に皆驚きを隠せて無かった。

 無理もないだろう。

 500年間バレなかったことがバレたのだから。

 驚きのあまり魔王様の前だというのに騒ぎ出してしまったのだ。

 だが、魔王様が右手を上げただけで収まった。

 「次にこれを見てほしい」

 そう言い、魔王様が取り出したのは人間の共通語で書かれている書状だった。

 「この書状を完結に纏めると人類が生き残る為に断言し、我々に宣戦布告を行うだ。そして、この宣戦布告は受けようと思う。誰か、反対の者は?」

 その言葉の後、静寂が訪れた。

 つまり、誰も反対しないということだ。

 「よろしい。では、戦争の準備を始めろ」

 その言葉に我々は臣下の礼を取り、答えた。

 その後、魔王様は細かい指示を出したが、全てを指示し終えたら、私の方を向いてきたのだ。

 「それで最期なんだが、グリークス。あの人間はどうするつもりだ?」

 その言葉と共に視線が私に集まった。

 「どうとは?」

 「グリークスの義妹のことだ。これから人間達と戦争になる。だから、これからどう対応するかだ」

 「魔王様。私はリーフを保護し、守ると決め、義妹になったのです。これからも守り続ける以外何も無いと思うですが?」

 「フッ、確かにな。お前が1度決めたことを曲げるよう奴ではないな」

 満足したような表情を浮かべた魔王様は席から立ち上がったのだ。

 「それでは解散とする。皆の者、万全を期せ」

 その言葉と共に魔王様が消えたので、これで解散となった。

 さて、私も準備しないとな。

 私は情報部だから、情報を集めよう。

 忙しなるな。

 後処理を含めて。

 そんなことを思いながら、第一資料室に足を向けた。
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