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第九話 実家に
しおりを挟む[カリーサ視点]
私の名前はカリーサ。
低級魔族のウィッチだけど、才能があったお陰で私は魔王様の側近でもあるグリークス様の秘書官。
秘書官は普通上級魔族だけがなれる役職なので、周りからはただ運に恵まれだけど言われるいる。
それは私も思う。
それでもグリークス様は優しいからそれは私の実力だと言ってくれる。
そ、そんなグリークス様に私がこんな気持ちを抱くのも仕方なかっただろう。
だけど、ある日グリークス様は突然召喚された人間を義妹にしたのだ。
それからグリークス様は仕事を程々にし、定時で上がり、今まで殆どとってこなかった有給を使い始めたのだ。
それだけで分かってしまうのだ。
グリークス様が義妹の人間を大切にしていると。
わ、私もグリークス様の隣に居たら、あんな風にしてもらえるのかな?
だ、駄目駄目。
そんなことを考えては。
私は下級魔族で、グリークス様は上級魔族。
種族の差が凄すぎるから。
そ、それでも心の何処かで思ってしまう。
もしかしてと。
そんなことを考えて過ごしていたら、実家から手紙が来たのだ。
少し用があるので帰省して欲しいと。
それに直ぐ返答しようと思ったが、人間達との国との戦争が始まってしまったので、返答は遅くなってしまった。
全ての処理を終えた後、私はグリークス様に有給申請書を提出し、実家に帰省した。
帰省した実家は特に変わりは無かった。
変化したのは少し裕福になったぐらいだった。
多分、私の仕送りのお陰だと思う。
近況報告をしてから、私に何の用か聞いてみた。
返ってきた返答は縁談だった。
縁談か…
嫌かな。
まだグリークス様の隣で働いていたいから。
それでも詳しく聞いてみたら、もう話が進んでいるみたい。
だったら、一回顔合わせしてから、仕事を理由に断ろう。
その後、私は顔合わせの準備を始めた。
そして、当日になった。
私の縁談相手はウィッチでも上の立場にいる者だった。
後は若い者達と言い、私と縁談相手の家族は部屋から退室しまった。
退室すると同時に私の右手に何かがつけられた。
右手の方に視線を向けた私は絶望するしか無かった。
つけられたのは魔力封じの手錠だった。
私は魔法がなければ、弱い。
だから、簡単に押し倒されてしまう。
目を見て、わかってしまった。
この男は私をこの場で犯すつもりだと。
私が必死に抵抗している時に見えてしまった。
父親が私を犯そうとしている男に似ている男から大金を受け取っているところを。
そして、その近くには私の家族がいることに。
そこで察してしまった。
私は家族に売られたと。
嫌だ。
嫌だ、嫌だ。
「た、助けて、僕を。グリークス様」
私、ううん、僕は無理だと分かりながらもこの場にいないグリークス様に助けを求めてしまった。
そして、涙が止まらない。
男は痺れを切らしたのか。
右手を上に振り上げ、私の顔に向かって、振り下ろしてきたのだ。
それを止める術がない私はただ目を閉じることしか出来なかった。
いつまで経っても痛みが来ることはなく、かわりに大きな音が聞こえた。
そして、僕を押さえつけていた力が無くなり、何かが頬を流れた涙が拭くような感覚だけを感じたのだ。
不思議に思い、目を開けてみると驚きと嬉しさで固まってしまった。
だって、僕の目の前には助けを求めたグリークス様がいたからだ。
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