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第六話 別れ

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 その後、私達はドラゴンの死体を洞窟まで持って帰った。

 よしよし、加工しよう。

 今回の戦いで、骨の槍と骨の剣を失ってしまった。

 だから、ドラゴンの骨を使って武器を作る。

 ドラゴンの骨だ。

 相当良い骨の武器になるはずだ。

 早速加工を始めるか。

 加工を始めたが、出来なかった。

 ドラゴンの骨は固く、削ることすら出来ない。
 
 仕方無い。

 ドラゴンの骨同士で削って、形を整えるか。

 ドラゴンの骨とドラゴンの骨で、叩いたり、削ったりして、形を整えた。

 加工が終わる頃には夕日が私を照らしていたが、ドラゴンの骨の剣とドラゴンの骨の槍が完成した。

 夕食を作るか。

 木に火をつけ、解体しておいたドラゴンの肉を焼いた。

 焼き上がったら、葉っぱの上に置いて、ベーアを呼んだ。

 ベーアが来てから、ドラゴンの肉を食べた。

 ドラゴンの肉を食べた私は思わず目眩を覚えた。

 う、美味過ぎる。

 今まで食べたどんな肉よりも美味しい。

 それはベーアも同じだったようだ。

 私とベーアは満腹になるまでドラゴンの肉を食べ続けた。

 く、食い過ぎた。

 ま、まぁ、偶にはこんなことも良いだろう。

 ベーアの仇討ちをした後の宴会だ。

 許されるだろう。

 残った肉は燻製にするか。

 そして、鱗は残しておく。

 後々使えるかもしれない。

 燻製が出来上がってから、私とベーアは眠りについた。

 朝日が私達のことを起こした。

 私はいつものように顔を川の水で洗い、朝食を作った。

 そして、いつものように朝食を食べた終えた時だった。

 突然、ベーアが私の顔をじっと見てきたのだ。

 「どうしたんだ?」

 ベーアはその質問には答えず、そのまま状態を維持していた。

 本当にどうしたんだ?

 ベーアのことを少し考えていると、1つのことが浮かんできた。

 思いついたことが正解だと確信し、ベーアの顔をじっと見た。

 「ベーア。まさかと思うが、旅立つ気か?」

 ベーアは頷いて答えた。

 「そうか」

 いつかくることだと分かっていた。

 私と離れる時が。

 「ベーア。ここを出て、何処にいくつもりだ?」

 ベーアは鳴いた。

 「旅にか。しかも自身を鍛える旅に」

 長く過ごしていたから、鳴き声だけで何が言いたいか分かる。

 「分かった、ベーア。私もこの森を出る。そして、ベーアと同じように自身を鍛える」

 ベーアは嬉しさと驚きが混ざったような声色で鳴いた。

 「今までありがとう、ベーア」
 
 私はベーアに抱き着いた。

 ベーアは鳴いた後、上手く私のことを抱き締め返してくれた。

 ベーアの体温を感じる。

 私達は互いが満足いくまで抱きつき続けた。

 「いつかまた会おう、私の兄弟のベーア」

 ベーアは大きく鳴いた後、私から離れ、森の東側に向かって歩き始めた。

 そして、そのままベーアは振り返ることも無く、森の奥に消えていった。

 ありがとう、ベーア。

 貴方と居れたから孤独では無かった。
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