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第四話 時空の歪み
しおりを挟むあれから1年が経った。
俺は転生してから1ヶ月後ぐらいに魔族の国に到着した。
国に入ることは色々と聞かれたが、今まであったことを話した。
元異世界人でもあると。
魔族達は不審に思い、様々なことを証明させられ、何とか入れて貰えた。
俺はそこで暮らし始めた。
だが、俺は周りから距離を取られた。
まぁ、余所者だからな。
最初は1人だったが、1人だけ俺に関わってくれる魔族がいてくれた。
俺はそんな1人の魔族と過ごしている。
今日は用事があり出掛けている。
家事も終わり、薬草茶を飲みながら、椅子に座っていると、何かが歪んだ。
その歪みはどんどんと広がっていく。
こ、これは何だ?
その歪みは俺のことを包み、自身の体も歪ませる。
歪みが収まると、俺は知らない森の中にいた。
ここは何処だ?
魔族の国では無いのは確かだ。
てか、また森の中かよ。
そんなことを考えながら近くの木の上に登ると驚きの景色が広がっていた。
富士山がよく見えたのだ。
そして、近くには大きめな湖が見えた。
富士の五大湖の1つだろう。
糞が。
本当にふざけるな。
異世界で慣れてきたというのに。
帰還させたのか。
でも、俺が居なくても大丈夫か。
1人の魔族はもう自分の力で生きていける筈だ。
それに、元異世界人と伝えてあるから突然居なくなったとしても帰還したと察してくれるはずだ。
そこは問題無いか。
そんなことを思いながら、木から降りた。
てか、気づくべきだったな。
俺が登った木は葉桜になった山桜だったからな。
葉桜ということは夏ぐらいか。
暑いしな。
そして、場所は山梨の何処かだな。
さて、どうするべきか。
取り敢えず、情報だな。
右手を山桜の方に伸ばした。
「ヴァッサァシュピーゲル」
すると、額は不透明な水で構成され、真ん中は澄んだ水で構成された鏡が現れた。
本来は遠くを見るために使う魔法だが、テレビに接続できるかな?
よし、上手く行った。
無事にテレビに繋ぐことが出来た。
原理は分らないが。
テレビの日付は召喚されてから3ヶ月が経っていた。
異世界に1年ぐらいいた筈だ。
だから、時間差があるのか。
こちらの1ヶ月が異世界だと3ヶ月になるのか。
そんなことを思っていると、ニュースに切り変わり、流れ始めた。
流れてきた情報は何と俺達のことだった。
行方不明だった高校生が2人以外帰還したと。
2人か。
1人は俺で、もう1人はあいつか。
あの時死んだのは私だけなのか。
私は魔法を解除した。
情報は集まった。
ヨーロッパに行くか。
日本にいたら、色々と面倒なことになりそうだからな。
前の僕は死に、俺になった。
だから、親元なんかには帰れない。
まぁ、こんな角を生やして帰ったら、追い出されるのが容易に想像出来る。
折角、死んでいることになっているんだ。
これを活用しよう。
俺はこの世界にはいない魔族のハータだ。
前世がこの世界のこの国の高校生だけだったということだけだ。
俺は近くに流れている川まで移動し、川に飛び込んだ。
「ヴァッサァヴァンデルソ」
俺が水飛沫を上げることはなく、水と一体化した。
さて、海に出て、ヨーロッパを目指すか。
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