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第五十四話 異国に
しおりを挟む3年の前期は何事も無く過ごし、最後の長期休暇に入った。
長期休暇に入って直ぐにまた国王陛下に呼び出された。
俺は急いで王城に向かうと王命を下されたのだ。
王命はバイヤル王国に婚約者と共に行けというものだった。
バイヤル王国からの書状を国王陛下に読ませて貰うと、あることが分かった。
バイヤル王国の国王は俺の力を見込んで、ある依頼をしたいらしい。
俺を呼んでいる理由は理解出来たが、リリア達まで呼んでいる理由は分からない。
だが、王命が下ったのだ。
それを遂行する他ない。
面倒だと思いながら、俺は転移魔法でベンネット伯爵家の屋敷に向かった。
まず、このことをリリア達に伝えた。
リリア達は驚いていたが、直ぐに準備を始めてくれた。
リリア達に伝えた後、保護者達にも伝えた。
心配する声も有ったが、使い魔と婚約の証のネックレスのことを知っているので心配無いだろうとなった。
まぁ、王命だから、拒否することは出来ないけど。
リリア達は王立学院用のドレスは持っているが、パーティーなど使う高めのドレスは殆ど持っていない。
今回はバイヤル王国の王宮に泊まる予定だ。
だから、それなりのドレスを準備しなくては。
俺は商人バルバラの力を使い、最高級の生地を準備した。
そして、腕が良い職人も連れてきた。
基本的にデザインは母上とリリア達が決めている。
俺はわざわざ領地からナサヤ子爵を連れてきた。
俺や父上やベンネット伯爵やナサヤ子爵、リリア達のドレスのデザインがこれが良いやあれが良いなど意見した。
ドレスのデザインが全部決まったら、俺は金を多めに払い急ぎで頼むと声を掛けた。
職人は勿論と言いながらニヤリと笑った。
ドレスは2日程で出来上がった。
工房が総出で仕上げたのだろう。
そして、ドレスの出来は完璧だった。
ドレスが完成したので、俺達はバイヤル王国の王宮に向けて、出発することにした。
俺は魔法袋から魔導馬車と魔導馬を取り出した。
魔導馬車にはランガン公爵家の家紋をつけた。
今回、行くのは俺とリリア達とリリア達付きの侍女達だ。
ちなみに、エレネ付きの侍女は小さい頃から付いてくれた侍女で、シアナ付きの侍女は父上と母上が厳選した侍女だ。
なので、魔導馬車に乗るのは合計7人だ。
だが、男は俺1人だけだ。
まぁ、しょうがないよな。
出発の時には父上や母上やベンネット伯爵やベンネット伯爵家に仕える使用人達がお見送りしてくれた。
見送りを受けながら、俺達は出発した。
道中で魔物や盗賊などの襲撃は有ったが、全て防衛機能で蹴散らした。
そして、俺達は無事にバイヤル王国の王宮に到着することが出来た。
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