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第五十二話 クズの末路
しおりを挟む俺が撃ち始めてから約1時間が経った。
途中で属性付きの竜核は無くなった。
次の竜核を入れようと魔法袋から竜核を出す前に気が付いた。
魔物達が全滅していることに。
侯爵家の領地の外壁の外には魔物達の死体で溢れていた。
そう、魔物の大襲撃は終わったのだ。
そのことに兵士達も気付き、雄叫びを上げ始めた。
確かに魔物の大襲撃は終わった。
だが、まだ原因を倒していない。
あるところから魔物達が出て来たと見えたのでそこに向かうことにした。
俺は箱型のガトリングの魔銃を魔法袋の中にしまい、魔法袋から剣を出し、腰に携えた。
魔法袋から転移石に似た魔法具を取り出した。
それを使うのと同時に転移魔法を使い、その場所に移動した。
森の中を進んでいくと何かの声が聞こえた。
その声がする方に近付くと人型の何かがいた。
それをよく見てみるとそれはクソ兄だった。
クソ兄は変わり果てた姿をしていた。
顔や体は痩せ細り、目からは生気を感じず、何かを繰り返し呟いていた。
それをよくよく聞いてみると、それは元婚約者の恨み言だった。
なんて、自分かってのクソなんだ。
こいつとはもう血が繋がった者だと思いたくも無い。
こいつと血が繋がっている事実が恥ずかしすぎる。
リリア達にシードラゴンの時の映像を見られるよりも恥ずかしい。
俺は魔銃を構え、引き金を引いたのだ。
撃たれた魔力の塊はクソの頭に吸い込まれ、ただの死体に変えた。
頭から血を流し、周りに血溜まりを作っていく。
そんな状況をちらりと見た俺は魔銃と剣を魔法袋の中にしまった。
そして、魔法袋から転移石に似た魔法具を取り出した。
それを使用するのと同時に転移魔法を使って、侯爵家の屋敷に転移した。
その後、出発は1日遅れることになった。
他の生徒達はそのまま侯爵家の屋敷に泊まったが、俺達は馬車の中に泊まった。
そして、1日が経ち、侯爵家の屋敷から出発した。
俺は誰にも感謝されることは無かった。
まぁ、それは仕方ないことだな。
あのクソがやったことは許されることでは無いから。
その後、何事も無くベンネット伯爵家の屋敷に到着することが出来た。
ベンネット伯爵家の屋敷に帰った時に父上がいたので、クソのことを話すと顔を歪めていた。
「そうか、ビリー。あれはダメだったな」
父上はそう呟いたが、直ぐに笑顔を浮かべたのだ。
「さて、あれのことはもうどうでも良い。シアナ君のことなんだが、次はどんな本が読みたいと言っていたんだ?私達はどんな本でも買うぞ。だって、私達の可愛い娘だからな」
俺の両親は良くも悪くも商人だ。
信頼を裏切った者には血の繋がりがあろうが迷い無く切り捨てる。
残念だったな。
お前は誰からも必要とされていなかったようだ。
これはお前が選んだ道の末路だ。
はっきり言って、あそこで死んでくれて、俺は本当に嬉しかったよ。
死んでしまえば、これ以上余計なことをしないからな。
お前は生きているだけで、余計なことしかしないから。
じゃあな、クソ。
また出会わないことを心の底から願っているよ。
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