伯爵家の次男に転生しましたが、10歳で当主になってしまいました

竹桜

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第三十五話 シアナの出身国の新国王

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 帝国軍の侵攻は大失敗に終わり、主力が壊滅したのだ。

 帰還した船は僅か数隻だった。

 多くの死者が出た。

 その中には帝国を築き上げた者達も多く含まれていた。

 皇帝も死んでいたため、帝国は滅んだ。

 帝国が滅んだことで帝国との戦争に負けて、自治国になっていた国々は一斉に独立を始めた。

 国のためにまた戦争を始めた。

 そして、帝国の脅威が無くなったので難民達も元の大陸に帰ることになった。

 難民が帰るにも船が足りなかった。

 商人バルハナが船を貸し出し難民を大陸まで運んだ。

 それは人だけではなく、物資や食料なども含まれていた。

 難民を送り届けたことであちらの大陸との縁ができ、貿易が開始された。

 それは国同士では無く国と商人バルハナとの間で。

 難民は様々な国から来ていたので、商人バルハナは多くの国々と貿易を結んだ。

 あちらの大陸では商人バルハナの関係者達は大切なお客様となった。

 戦争に巻き込まれることも無くなったので、商売がやりやすくなった。

 あちらの大陸の国々も安定した商売が出来るルートが欲しいのだろう。

 その結果、こちらの大陸にあちら大陸の国々の者達がやってくることも増えた。

 商人バルハナと言ったが俺は特に対応していない。

 全て部下に任せている。

 今の俺は名前だけだからな。

 普通に過ごしながら、商売を拡張していると俺は何故か国王陛下から召集された。

 俺はこのことをリリアとエレネとシアナとベンネット伯爵に伝えた。

 伝えた後、転移魔法を使用し、王都の近くに転移した。

 魔法袋から魔導馬車と魔導馬を出した。

 魔導馬車にはランガン侯爵家の家紋をつけた。

 魔導馬車に乗り、王都の中に入り、王城に向かった。

 王城には前とは違い、直ぐに通された。

 どうやら、前とは違うようだ。

 俺は王城の前に魔導馬車を止めた。

 魔導馬車と魔導馬を魔法袋にしまった。

 しまったと同時に使用人が出てきた。

 その使用人に俺は案内された。

 俺が案内された場所は謁見の間では無く、応接室だった。

 応接室の中には国王陛下と知らない若い男がいたのだ。

 その男は銀色の髪をしていて、青色の瞳をして高そうな生地をした服を身に包んでいた。

 何処かの国の王族か高位貴族だろう。

 俺は国王陛下からこの男の自己紹介を受けた。

 どうやら、この男はあちらの大陸の国の新国王らしい。

 本来はこの国と関係ないがどうやら探し人がいるらしい。

 なんとその探し人がシアナだったのだ。

 どうやら、 国王陛下は調べていたみたいだ。

 俺の婚約者が誰かを知るために。

 その時にシアナのことを知ったのだろう。

 それを国王が新国王に教えたと予測出来る。

 大方、あちらの大陸にしか無いものとの貿易のためだろう。

 事情を聞くと帝国に勝つためにシードラゴンにシアナのことを生贄にしたらしい。

 そして、生きていたのでこちらの国に帰して欲しいとのこと。

 シアナのことを聞くと、新国王は馬鹿にしたような感じで答えてきたのだ。

 その態度に私は苛ついてしまった。

 それを何とか表に出さないように抑えて、話に耳を傾けた。

 シアナは前国王とメイドの間に出来た子らしい。

 シアナの母親はシアナを産んでから3年後に死んでしまったらしい。

 前国王はシアナの存在を認知しなかったみたいだ。

 その結果、シアナは存在自体も隠された王女になってしまった。

 こいつ、シアナのことを政略の道具に使う気だな。

 シアナは無口だがとても良い子だ。

 そんな良い子を見捨てる訳には行かないか。

 そもそもこんな話を聞いて、見捨てる男はいないだろう。

 だが、俺が取れる手段は1つだけだ。

 なら、俺はその手段を取ることにした。

 

 
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