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第十二話 諦めが悪い男

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 俺は14歳になった。

 そして、リリアと一緒に王立学院に入学した。

 この王立学院ではAからFクラスがある。

 成績が良い生徒がAクラスになり、成績が悪い生徒はFクラスになる。

 俺とリリアはAクラスだった。

 一応、俺が首席だった。

 リリアは上から5番目だった。

 クラスの中でリリアは人気者だった。

 それなリリアに俺は結構一緒にいたので、周りは俺とリリアと婚約していると思っている。

 まぁ、リリアがつけているネックレスも関係していたが。

 そんな感じでリリアとの学院生活を楽しんでいた。

 1ヶ月が経った時のことだった。

 Aクラスの中に突然知らない男が入ってきたのだ。

 その男は走ってきたのだろう息を切らせていた。

 男は息を切らしたまま、Aクラスの中を見渡した。

 その男は俺の方を見てきた。

 いや、正確にはリリアの方を。

 あいつ、もしかして。

 その男は俺とリリアが座っている椅子までやって来た。

 「リリア嬢、あの時は済まなかった。私は操られていたとしても、君の名誉を傷つけてしまった。だから責任を持って、婚約するよ」

 そう言いながら、その男は頭を下げたのだ。

 間違い無い。

 こいつがリリアに婚約を迫っていた侯爵家の長男か。

 そして、リリアと責任で婚約するだと?

 こいつふざけているのか? 

 あんな可愛いリリアを。

 ベンネット伯爵が直ぐに断ったのが分かったよ。

 「そのことでしたら、大丈夫ですよ。私はあの時に、大切な婚約者ができましたから」

 リリアはネックレスを持ち、侯爵家の長男によく見せるように掲げた。

 そのネックレスを見て、侯爵家の長男は目を見開いた。

 「そ、その、ネックレスは婚約の証。ま、まさか、婚約を結んでいたなんて」

 そのまま侯爵家の長男はそこで固まってしまった。

 こいつ、さっさとどいてくれないかな?

 そんなことを思っていると侯爵家の長男はとんでもないことを言い出したのだ。

 「リリア嬢、その婚約を破棄して、私と婚約を結んでくれ。私の方が君のことを幸せに出来るから」

 そう言いながら、侯爵家の長男は晴れ晴れとしたいい笑顔を浮かべていた。

 流石にこの発言はAクラス中が絶句するしか無かった。

 こんな非常識な奴が次期侯爵か。

 その侯爵家は終わってるな。

 全て自分の思い通りに行くと思っている。

 それならあのピンク頭と同じだぞ。

 「随分と失礼な方ですね。私は彼が好きで、婚約を結んだのです。私の幸せは私自身が決めます。私の幸せは彼と一緒に生きることです」

 そう言い、リリアは怒っていた。

 俺は初めてリリアが怒ってるところを見た。

 リリアが怒ると思わず、侯爵家の長男は呆然としていた。

 俺は呆然としている侯爵家の長男をAクラスから追い出した。

 王立学院の前期が終わるまで侯爵家の長男が関わってくることは無かった。
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