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第一話 当主に
しおりを挟む俺の名前はビリー・ランガン。
元々は違う世界に住んでいた男だ。
違う世界では自動運転の試験車両に轢かれて、死んでしまった。
そして、俺はランガン伯爵家の次男として転生した。
ランガン伯爵家はとても裕福だった。
両親は根っからの商人であった。
兄はプライドが高いだけの無能だった。
そんな兄には婚約者がいる。
侯爵家の令嬢と婚約しているのだ。
父親曰く、その婚約が無かったら、俺に次期当主の座を譲っていたらしい。
俺は幼い頃から色々と発揮したため、秀才と呼ばれるようになっていた。
そのため、俺の婚約も直ぐに決まった。
俺の婚約者は隣国の伯爵家の令嬢で友好な関係を築いていた。
俺も婚約者となら、これからも生きていきたいと思っていた。
俺の人生は順調だった。
だが、それは10歳までだが。
俺の人生は10歳で大きく変化してしまった。
俺がいつものように書斎で本を読んでいると玄関が騒がしくなっていることに気が付いた。
俺は何だと思いながら、玄関に向かうと顔色が悪い我が家の従者が両親に何かを説明していたのだ。
それを聞いてみると驚いた内容だった。
あのクソ兄、やりやがったな。
婚約者だった侯爵令嬢に無実の罪をかけ、勝手に婚約破棄をしたらしい。
それで侯爵令嬢に罪を捏造されたことをバラされ、我が家の立場が悪くなった。
しかも自分のお気に入りの娼婦を正妻にしたかったみたいだ。
マジかよ。
俺の婚約まで無くなるかもしれないぞ。
両親は直ぐに王都に向かい、話し合いに応じてきた。
1ヶ月ぐらいで両親とクズ兄が帰ってきた。
クズ兄は口も塞がれ、体は縄で縛られていた。
俺はそんなクズ兄を無視し、両親から話を聞いた。
どうやら、ランガン伯爵家はそのまま存続出来らしい。
だが、それには条件があった。
その条件は誰から見ても厳しいものだった。
最初の条件は両親が当主の座を降り、俺に当主の座を譲ることだった。
それには驚きが隠せなかった。
俺は10歳だぞ。
10歳が当主だと。
暗に没落しろということか。
2つ目の条件は賠償金だったが、金に関しては問題ない。
相場の倍ぐらいだったが特に問題は無かった。
3つ目の条件は俺が成人するまで社交会やパーティーに参加することが出来ない。
この3つの条件を両親は飲んだらしい。
両親は早々に書類を片付け、ランガン伯爵家の屋敷をクズ兄と一緒に出て行ったしまった。
その途中で俺の婚約が白紙になってしまった。
ほんとふざけるなよ。
クズ兄のせいで婚約者と別れることになってしまった。
転生してから10年が経って、俺はランガン伯爵の当主になってしまった。
だが、舐めるなよ。
俺には前世の記憶があるんだ。
その記憶を使って、没落貴族を回避してやる。
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