異世界で至った男は帰還したがファンタジーに巻き込まれていく

竹桜

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第五十話 修学旅行

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 紅葉狩りを終えてから1ヶ月が経つ。

 私とラナはまた京都に来ている。

 今回はヘリではなく、新幹線で。

 そう、高校の修学旅行だ。

 高校の修学旅行なので、リーヴと詩花は来ていない。

 1日目は移動と軽い観光で終わり、2日目はクラスで京都内を観光している。

 やっと3日目で自由行動の時間がやってくる。

 と言っても自由行動が出来るのは清水寺の周辺だけだが。

 高校で貸切りしたバスが清水寺の近くの駐車場に到着し、私達はバスから降りる。

 バスから降りて清水寺の近くまで移動したら、そこで解散となり自由時間となったのだ。

 自由時間となった私はラナと合流して、ラナとは恋人繋ぎをしている。

 「え、えっと樹。またこの繋ぎかたなの?」

 ラナは少し顔を赤くしながら、私の方を見てくる。

 「人が多いから、はずれないように」

 「た、確かにそうだね」

 周りからの視線が集まる。

 男子達からはいい加減にしろという視線を向けられ、女子達は興奮している。

 周りからの視線も集まり、若いねと言われている。

 私達はそこから離れ、清水寺に向かっていると着物を着れますという旗を見つける。

 「ラナ。折角、京都に来たんだ。着物を着てみないか?」

 「着物を?折角だから着てみようかな」

 私達は着物がレンタルを出来る店に入り、自由時間分レンタルしたのだ。

 制服からレンタルした着物に着替え終えた私は着物に着替えているラナを店の近くで待っていると店の中から下駄で歩く音が聞こえてくる。

 音がした方を向くと青色の模様が施された浴衣に身を包んだラナがやってくる。

 「い、樹。ど、どうかな?」

 ラナは恥ずかしいのか顔を少し赤くしてもじもじしている。

 「とても似合っているよ」

 「本当。嬉しいよ」

 ラナは嬉しそうな表情を浮かべていたのだ。

 「時間もそんなあるわけじゃないから早く行こ、樹」

 ラナは私の右手を握って、歩き始める。

 私はその右手を握り直して、清水寺の方に向かう。

 清水寺の観光を終えたら、清水寺の近くにある京都地主神社に向かう。

 この神社は縁結びで有名な場所だ。

 ラナはお守りを購入すると言い、私の右手から手を離し、お守りを購入しに行く。

 ラナの後ろを姿を見ていると1つのことに気が付く。

 周りの人間は気付いていない。

 私だけが気が付いたのだ。

 私の家の近くにある津島神社を。

 しかも作りが、いや、全てが同じなのだ。

 鳥居も社も全てが。

 この神社をお参りした後は必ずと言っていいほど良い出会いがあったな。

 「樹。お待たせ」

 ラナの方を向きながら横目で津島神社の方を見てみると、既に姿は無かったのだ。

 存在していたのに一瞬で消えた。

 不思議に思ったが、気にしないようにする。

 折角、ラナと京都に観光しに来ているんだ。

 あまりファンタジー的なことに巻き込まれたくない。

 京都地主神社を後にし、お土産さんに向かう。

 ラナは店頭に並んでいるお土産を見ながら、悩んでいる。

 「お義母さん達にお土産を買っていかないと」

 真剣にお土産を選んでいるラナは何かを思い出したような表情を浮かべている。

 「あ、でも詩花は京都に住んでいるからここのお土産はいらないかな?」

 「いや、買った方が良いじゃないかな。お土産は気持ちだから」

 「確かにそれはそうだね。じゃあ、これが良いじゃないかな?」

 ラナはあるお土産を指差す。

 これなら全員が好きそうだな。

 これにしよう。

 私達は選んだお土産を購入し、着物をレンタルした店に向かっているとカメラ等の撮影用の機材を持った者達が呼び止めてくる。

 どうやらテレビの取材みたいだ。

 面倒くさいと思ったが、ラナが乗り気だったので、取材を受けることにしたのだ。

 取材は順調に進み、最後の質問で私達の関係を聞かれる。

 ラナは自慢したげな表情を浮かべ、首に掛けていたネックレスをテレビカメラの方に向けられる。

 「樹は僕の婚約者だよ。そして、親公認でもあるよ」

 ラナの爆弾発言は取材陣だけではなく、周りの者達も驚き固まっている。

 その後、色々と聞かれそうになったが時間が無いと断り、着物にレンタルした店に向かう。
 
 着物から制服に着替え、集合場所に向かう。

 時間ギリギリだったが、何とか時間通りに到着したのだ。

 到着した私達はバスに乗り込み、宿に向かって走り始める。

 バスの中で色々と聞かれたのだ。

 どうやら、私達が取材されていたことを知っているようだ。

 宿に到着するまで、私達はその対応に追われることになったのだ。
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