50 / 64
第五十話 修学旅行
しおりを挟む紅葉狩りを終えてから1ヶ月が経つ。
私とラナはまた京都に来ている。
今回はヘリではなく、新幹線で。
そう、高校の修学旅行だ。
高校の修学旅行なので、リーヴと詩花は来ていない。
1日目は移動と軽い観光で終わり、2日目はクラスで京都内を観光している。
やっと3日目で自由行動の時間がやってくる。
と言っても自由行動が出来るのは清水寺の周辺だけだが。
高校で貸切りしたバスが清水寺の近くの駐車場に到着し、私達はバスから降りる。
バスから降りて清水寺の近くまで移動したら、そこで解散となり自由時間となったのだ。
自由時間となった私はラナと合流して、ラナとは恋人繋ぎをしている。
「え、えっと樹。またこの繋ぎかたなの?」
ラナは少し顔を赤くしながら、私の方を見てくる。
「人が多いから、はずれないように」
「た、確かにそうだね」
周りからの視線が集まる。
男子達からはいい加減にしろという視線を向けられ、女子達は興奮している。
周りからの視線も集まり、若いねと言われている。
私達はそこから離れ、清水寺に向かっていると着物を着れますという旗を見つける。
「ラナ。折角、京都に来たんだ。着物を着てみないか?」
「着物を?折角だから着てみようかな」
私達は着物がレンタルを出来る店に入り、自由時間分レンタルしたのだ。
制服からレンタルした着物に着替え終えた私は着物に着替えているラナを店の近くで待っていると店の中から下駄で歩く音が聞こえてくる。
音がした方を向くと青色の模様が施された浴衣に身を包んだラナがやってくる。
「い、樹。ど、どうかな?」
ラナは恥ずかしいのか顔を少し赤くしてもじもじしている。
「とても似合っているよ」
「本当。嬉しいよ」
ラナは嬉しそうな表情を浮かべていたのだ。
「時間もそんなあるわけじゃないから早く行こ、樹」
ラナは私の右手を握って、歩き始める。
私はその右手を握り直して、清水寺の方に向かう。
清水寺の観光を終えたら、清水寺の近くにある京都地主神社に向かう。
この神社は縁結びで有名な場所だ。
ラナはお守りを購入すると言い、私の右手から手を離し、お守りを購入しに行く。
ラナの後ろを姿を見ていると1つのことに気が付く。
周りの人間は気付いていない。
私だけが気が付いたのだ。
私の家の近くにある津島神社を。
しかも作りが、いや、全てが同じなのだ。
鳥居も社も全てが。
この神社をお参りした後は必ずと言っていいほど良い出会いがあったな。
「樹。お待たせ」
ラナの方を向きながら横目で津島神社の方を見てみると、既に姿は無かったのだ。
存在していたのに一瞬で消えた。
不思議に思ったが、気にしないようにする。
折角、ラナと京都に観光しに来ているんだ。
あまりファンタジー的なことに巻き込まれたくない。
京都地主神社を後にし、お土産さんに向かう。
ラナは店頭に並んでいるお土産を見ながら、悩んでいる。
「お義母さん達にお土産を買っていかないと」
真剣にお土産を選んでいるラナは何かを思い出したような表情を浮かべている。
「あ、でも詩花は京都に住んでいるからここのお土産はいらないかな?」
「いや、買った方が良いじゃないかな。お土産は気持ちだから」
「確かにそれはそうだね。じゃあ、これが良いじゃないかな?」
ラナはあるお土産を指差す。
これなら全員が好きそうだな。
これにしよう。
私達は選んだお土産を購入し、着物をレンタルした店に向かっているとカメラ等の撮影用の機材を持った者達が呼び止めてくる。
どうやらテレビの取材みたいだ。
面倒くさいと思ったが、ラナが乗り気だったので、取材を受けることにしたのだ。
取材は順調に進み、最後の質問で私達の関係を聞かれる。
ラナは自慢したげな表情を浮かべ、首に掛けていたネックレスをテレビカメラの方に向けられる。
「樹は僕の婚約者だよ。そして、親公認でもあるよ」
ラナの爆弾発言は取材陣だけではなく、周りの者達も驚き固まっている。
その後、色々と聞かれそうになったが時間が無いと断り、着物にレンタルした店に向かう。
着物から制服に着替え、集合場所に向かう。
時間ギリギリだったが、何とか時間通りに到着したのだ。
到着した私達はバスに乗り込み、宿に向かって走り始める。
バスの中で色々と聞かれたのだ。
どうやら、私達が取材されていたことを知っているようだ。
宿に到着するまで、私達はその対応に追われることになったのだ。
11
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説

僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
1~8巻好評発売中です!
※2022年7月12日に本編は完結しました。
◇ ◇ ◇
ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。
ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。
晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。
しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。
胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。
そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──
ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?
前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~
うみ
ファンタジー
恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。
いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。
モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。
そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。
モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。
その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。
稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。
『箱を開けるモ』
「餌は待てと言ってるだろうに」
とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる