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第十五話 紛れし者
しおりを挟む今日は土曜日なので、学校は休みだ。
ラナは母さんに連れられて、一緒に買い物に出掛けている。
私は家にいてもやることが無いので、街に出掛けている。
街に出掛けているが、私が欲しそうな物は見つからない。
なので、ただ街をぶらぶらしているだけだったな。
街をぶらぶらしているとある小道から嫌な予感を感じる。
本当なら無視したいが、ここは家から歩いて10分ぐらいの距離だ。
ラナと母さんの安全を確保をするために確認する必要があるだろう。
だが、くれぐれもラナとの約束を守らなればいけないから細心の注意を。
私は周りを警戒しながら、嫌な予感がした小道を進む。
その小道を5分ぐらい進んでいると少し大きめの寂れた広場に出る。
その少し大きめの寂れた広場の真ん中には崩れたレンガ等の建築資材が無造作に置かれ、山状に積み上がっていたのだ。
そして、その山の上には人間ならざる者が座っている。
それは女だった。
その女は最低限だけの衣服に身を包み、頭から小さい2本の角を生やしている。
人ならざる女は私に気が付き、私の方に視線を向ける。
そして、舌なめずりをしたのだ。
「誰かと思えれば。私の力を与えた男に全てを奪われた男じゃない」
「力を与えた男。つまり、貴方は淫魔か?」
「まぁ、正解と言ってあげるわ。正確にはサキュバスだけど。純血ではないけど」
サキュバスは私に興味深そうな視線を向けている。
「それでも分からないわ。なんで、私の力で貴方の婚約者を奪えないのかしら?」
あの時、ラナの方に手をやっていたのは魅了魔法を使うためだったのか。
異世界で念の為と思っていたのが、まさか現代日本で役に立つとは。
「それは簡単なことだ。ラナには状態異常無効化の魔法が込められたネックレスをつけているからだ」
それを聞いたサキュバスは驚いた表情を浮べる。
「まさか帰還者だったとわ」
サキュバスはまた舌なめずりをする。
「凄くいいわ。貴方を私の物にするわ」
「それは困るな」
私は正拳突きの構えをとる。
「正拳突きかしら?例え、帰還者だろうとも人間とか」
私はサキュバスが喋っている間に正拳突きを放つ。
その結果、サキュバスが座っていた建材の山は消え去ったのだ。
建材の山が消え去ったので、サキュバスは地面に叩きつけられる。
最初は何をされたが分かってないのか唖然としていたが、徐々に何をされたかを理解し、恐怖の表情を浮かべていたのだ。
「や、やらしてあげるから。純血のサキュバスじゃないけど、普通の人間の女では体験出来ないようなことをさせてあげる」
「いやいや、私は童貞だぞ。体験とかどうでもいい。それに、私の初めてはラナと決めているんだ」
私は左手で引き手をとる。
「だから、死んでくれ」
私は躊躇無く、何かを喋ろうとしていたサキュバスを消し飛ばしたのだ。
何も残らなかった。
私はそのままこの場所を後にする。
もう用がないからな。
そう言えば、魅了魔法を与えたサキュバスを倒したんだ。
私から離れた者達はどうなるんだろう。
まぁ、どうでもいいか。
もう。
「あれ?樹、そんなところで何をしているの?」
私は思考をやめ、声がした方を向くと母さんとラナがいたのだ。
沢山の袋を両手に持って。
「ああ、猫がいたから追いかけていたんだ。でも、もう何処かに行ってしまったよ。取り敢えず、その荷物を持つよ」
私は咄嗟に嘘をつき、母さんとラナの荷物を持つ。
母さんとラナに余計な心配を掛けてたくないからな。
その後、私は母さんとラナと話しながら家に帰ったのだ。
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