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最終話 異世界で
しおりを挟むスタンピードが起きてから約ニ年が経った。
俺はいつもの装備に身を包み、ある場所に立っている。
立っている場所はスタンピードによって破壊されてから、修復された第一障壁の上だ。
修復された第一障壁は前とは違い、様々な防衛装備が設置されている。
その防衛設備はスタンピードから王都を守るために新たに作られた。
第一障壁の上から見ているのと鎧に身を包んだ男がやってきたのだ。
「ウース様。今日も異常はありません」
「そのようだな」
そう言い、俺はスタンピードが起きた森の方を向いた。
「いつものことだが、警戒は怠らないように。俺はこれで帰る。後は任せる」
「お任せ下さい」
部下と別れた俺はある部屋に向かった。
到着した部屋には責任者室と書かれていたのだ。
そう、私は第一障壁の責任者に就任した。
ある者の推薦と褒美として。
俺を推薦したのは前責任者の老人で、褒美はスタンピードを食い止めた時のものだ。
ちなみに、前責任者は責任を取らされて辞めた訳ではなく、ただ定年だ。
まぁ、俺は朝から夕方までの責任者でそれ以外の時間には別の責任者がいる。
今日の仕事を終えた俺は黒い布で体を包んだ後、第一障壁から出た。
そのまま俺は第二障壁を通り過ぎ、王都の中に入ったのだ。
そして、俺は王都を歩き続けるとある庭付きの大きめの一軒家に到着した。
何も迷わず、俺はその一軒家の敷地内に入り、玄関に向かった。
そして、玄関のドアを開けたのだ。
すると、一軒家の奥から玄関の方に向かってくる音が聞こえてきた。
姿を現したのはネーアだった。
ネーアはエプロンに身を包み、左手の薬指にはネーアの瞳の色の宝石が埋め込まれた指輪をつけている。
そう、俺は約1年の交際を経て、結婚したのだ。
夫婦になってからは大体1年ぐらい経っている。
「おかえりなさい、ウースさん」
「ああ、ただいま」
「はい。ご飯の準備は後少しですから、その間にお風呂を入ってきて下さい」
「そうさせて貰う」
その後、私はお風呂を入ってからネーアが作ってくれた夕食を食べた。
夕食を食べた後、ネーアは何故か顔が真っ赤になっていたのだ。
ど、どうしたんだ?
何か理由が無いかと考えているとネーアが話し始めた。
「あ、あの、ウースさん。す、少し報告したいことが」
「報告したいこと?」
「は、はい。じ、実は、その、えっと」
「どうしたんだ?」
「そ、その、お、お腹に中にウースさんとの」
「そ、それは子供ということか?」
ネーアは真っ赤な顔のまま、頷いて答えてくれた。
「そうか、そうか」
そう言い、俺は立ち上がり、ネーアに近づいた。
そして、右手をネーアのお腹に触れた。
「ありがとう、本当にありがとう。ネーア」
それを聞いたネーアは首を振ったのだ。
「お礼を言うのは私の方です。ウースさんと出会えて、結婚できて、本当にありがとうございました」
そう言い、ネーアは笑顔を浮かべたのだ。
その笑顔はとても幸せそうだった。
俺もその笑顔につられ、笑顔を浮かべていたことだろう。
ゴミのように切り捨てられたが、迷い込んだ世界で俺は幸せを手に入れた。
2つの。
1つ目はかつての部下達が私のために世界を越えて集結してくれたことだ。
そして、2つ目は異世界でできた妻のネーアだ。
ああ、俺は。
とても幸せ者だ。
だから、これからも静謐であることを祈る。
もう2度、スキルを使うことがないようにと。
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