ゴミのように切り捨てられた傭兵は異世界に迷い込みました

竹桜

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第八話 馬鹿野郎共

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 巨人によって第一障壁の門が破壊された。

 壊された門から魔物達が喜々として侵入してきたが、その足は止まったのだ。

 当たり前だろう。

 目の前には異様な陣地が構成されていたのだから。

 土嚢で作られた陣地には異世界人達がいたのだ。

 そんな陣地から1人の異世界人が出てきた。

 「撃ち方用意」

 そう言い、1人の異世界人は異世界の武器を構えた。

 それに続き、異世界人達も異世界の武器を構えたのだ。

 「撃ちまくれ。この地に静謐が訪れるまで」

 そう言い終えると、この場は銃声に支配された。

 魔物達は銃弾によって蹂躙されていく。

 蹂躙されていく魔物達は仲間の屍を乗り越え、接近を試みようとしてくる。

 「接近してくるぞ。火力を上げろ」

 すると、迫撃砲や重機関銃が火を吹き、先程よりも魔物達を蹂躙していく。

 魔物達を蹂躙していると空から魔物が現れたのだ。

 「対空砲隊。地に落としてやれ」

 すると、トラックの荷台の上に設置されている対空砲が火を吹き、空飛ぶ魔物達が地に落ちていく。

 やがて空飛ぶ魔物達は居なくなった。

 「対空砲隊。水平射撃に移行し、地上に射撃を開始しろ」

 その指示に従い、対空砲対は水平に狙いを定め、射撃を開始したのだ。

 また魔物達を蹂躙していく。

 蹂躙し続けていると巨人が第一障壁を破壊し、俺達に迫ってきていたのだ。

 俺達は射撃したが弾かれるだけだった。

 硬い皮膚によって。

 30mmの対戦車砲でもかすり傷をつける程度だったのだ。

 これでは埒が明かない。

 だから。

 「虎の子を出せ。遠慮はいらない」

 次の瞬間、爆音と共に巨人の左腕が吹き飛んだのだ。

 吹き飛んだ左腕は第一障壁まで飛んでいき、血に染めた。

 そこで始めて、巨人は痛みを示したのだ。

 「命中を確認した。次弾装填を急げ」

 虎の子として出したのは対戦車車両。

 戦車は持ってないが、対戦車の手段は持っている。

 他もだ。

 「他の対戦車攻撃を行え」

 すると、様々な対戦車攻撃が陣地から放たれた。

 その攻撃は確実に巨人にダメージを与えた。

 やがて、巨人は地面に倒れたのだ。

 俺はそんな巨人に向かって、指差した。

 「トドメをさしてやれ」

 その言葉の後、爆音が鳴り響いた。

 鳴り響いた後、巨人の頭が吹き飛んだのだ。

 その後、その巨人が動くことは無かった。

 「全火力を集中しろ」

 すると、全ての火器が残っている魔物達に向けて、蹂躙を開始したのだ。

 やがて、魔物達は蜘蛛の子を散らすように逃げ始めたのだ。

 「全員、追撃だ。陣地から出て、撃ち続けろ」

 そう言い、俺はM4A1をセミオートで撃ちながら、陣地から出たのだ。

 それに続き、傭兵達は追撃を開始した。

 この傭兵は静謐という言葉を使う。

 静謐の意味は静かで安らかなこと。

 この傭兵達は静かで安らかな場所を作るために防衛するのだ。

 そして、今回もだ。

 追撃は終わった。

 全ての魔物が第一障壁から撤退したからだ。

 その時、風が吹いた。

 その風は大量の魔物の死体の匂いと硝煙の匂いが漂ってきたのだ。

 ああ、これは戦場の匂い。

 懐かしいな。

 そんなことを思っていると部下達が既に集結していた。

 「隊長、指示を完遂しました。私達はこれで」

 そう言い、副隊長は敬礼したのだ。

 それに続き、部下達も敬礼をした。

 気付けば、俺は敬礼していたのだ。

 それを見た部下達は霧のように掻き消えていく。

 気がつけば、目の前には誰も居なかった。

 まるで、最初から居なかったように。

 俺はスキレットを取り出し、空に、いや、部下達に向かって乾杯した。

 そして、中に残っていたウィスキーを飲み干したのだ。

 ああ、本当に馬鹿野郎共が。

 俺はお前達を死なせたというのにこんな異世界まで集結しやがって。

 お前達のような馬鹿野郎共の部下を持てて、俺は幸せ者だな。

 そんな幸せ者な俺はこの世界で幸せにしないといけない女がいる。

 だから、俺は。

 そして、俺は守りきった王都の方に歩き始めたのだ。

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