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第七話 集結

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 足音は確実に近付き、姿を現したのだ。

 姿を現した者は鎧に身を包んだよく鍛えられた老人だった。

 「今は状況が悪い。この障壁を放棄して、第二障壁まで撤退する。動け」

 その指示と共に周りの兵士達は動き始めた。

 そんな中、俺は壁まで近付き、M4A1を壁の上に設置したのだ。

 「指示が聞こえなかったのか?早く撤退しろ」

 「聞こえている。だけど、俺は少しでもここから数を減らす。安心しろ、最後には撤退する」

 「分かった。最後に声を掛ける」

 そう言い、老人は私の前から去ったのだ。

 さて、攻撃を開始しよう。

 俺はしっかりと狙いを定めてから引き金を引いた。

 やがて大地を埋め尽くす程、魔物が集まっていたのだ。

 もう狙う必要は無いな。

 そう思い、セミオートからフルオートに切り替え、引き金を引いたのだ。

 M4A1が弾切れになったら、グロック18Cをフルオートて撃つ。

 弾切れになったら、グレネードを下に投げた。

 すると、M4A1のマガジンが補充されるので、また撃てる。

 これを繰り返す。

 繰り返していると後ろに気配を感じたのだ。

 「撤退は完了した。後は儂と貴殿だけだ」

 「そうか。なら、撤退を開始する」

 そう言い、俺は壁から離れた。

 「先に行け」

 「はい。先に行きますが、一緒に下まで行きましょう。ここに残るつもりだと思うので」

 「何故、分かった?」

 「俺も昔隊長をしていましたから」

 「そうか。だが、儂はここの責任者として」

 「ここの放棄の責任はあの異世界人に取らせましょう」

 「わ、分かった。一緒に撤退しよう」

 何とか老人は納得してくれた。

 その後、俺は老人と共に第一障壁から撤退し、第二障壁の方に向かったのだ。

 その道中に老人が何かを思い出したような表情を浮かべた。

 「そう言えば、あの異世界人から没収した物があったな。同じ異世界人なら、これが何なのか分かるか?」

 そう言い、老人はあるものを取り出した。

 取り出したものには見覚え、いや、これは俺のものだ。

 「そ、それは俺のものだ」

 「そうなのか。なら、これは貴方のものだ」

 そう言い、老人は渡してくれた。

 信号拳銃を。

 ああ、俺のだ。

 感傷に浸りながら、中を確認してみると信号弾が既に装填されていた。

 これは集結の信号弾か。

 折角だし、撃ってみるか。

 そう思い、俺は信号拳銃を上に向けた。

 そして、引き金を引いたのだ。

 すると、上空に向かって、赤い煙が上がっていった。

 懐かしいな。

 この煙が上空に登ると私の部下達が車に乗って、俺の元に集結してくれた。

 そんなことを思いながら、まだ登っている信号弾を見ているとこの世界には絶対に無い音が聞こえてきたのだ。

 それは1つだけではなく、複数だった。

 俺達の視線は自然と音がする方に向けられた。

 視線の先には砂煙を上げて接近する軍団があったのだ。

 それは馬ではなく、鉄の馬達だった。
 
 それは俺達、いや、俺の前で止まり、その鉄の馬達から俺と同じ装備をした男達が降りてきたのだ。

 「整列!!」

 同じ装備をした男の1人がそう言うと男達は綺麗に整列したのだ。

 瞬く間に。

 「信号弾に応じ、集結致しました。どうか、指示を。隊長」

 ああ、本当に。

 「まずは集結してくれたことに感謝する。そして、指示だが、俺達が得意な防衛作戦だ。いつもの陣形を構築しろ」

 「了解。皆、指示は聞こえただろ?動け」

 その言葉と共に男達は動いたのだ。

 俺達の得意な陣形を構築するために。
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