ゲームの裏切り者に転生したが、裏ボスも反転していました

竹桜

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第五話 後始末

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 あれから説明と後始末が大変だった。

 まず、私は処罰を免れた。

 逆に主人公とヒロインの方が処罰を受けたのだ。

 慢心した結果、復活させたからな。

 しかも、それを私に尻拭いさせ、封印の邪魔までしている。

 例え、勇者と呼ばれていても許されないことだ。

 まぁ、私は建物のことを気にせず、戦っていたが。

 しかも、最後は自ら建物を1つ崩壊させたが。

 何も言われなかった。

 私が1番説明を求められたのはエリカのことだ。

 裏ボスの死体から現れたから、警戒はするだろう。

 その辺はエリカと設定を考え、打ち合わせを行っている。

 設定としては記憶喪失で、今までのことを何を覚えてない。

 当事者達が同じことを言えば、信じるしかない。

 だが、検査は念入りに行われた。

 検査の結果、エリカは人間だと判定されたのだ。

 まぁ、人間だし。

 そう言えば、検査で困ったことがあったな。

 それは検査の為、エリカに近づこうとすると拒否するのだ。

 そして、嫌悪、いや、憎悪を満ちた目を向けてしまう。

 これは仕方ないことだろうな。

 エリカの元は生きている全てに憎悪を抱いていた存在だ。

 憎悪というものが全てが集まり、エリカという存在を作り上げていた。

 だから、憎悪の根源と呼ばれていたのだ。

 もし、私が倒して無かったら、全てが荒れ果てたいただろう。

 あのエンドみたいに。

 そうそう、この世界では憎悪の根源と呼ばれることはなく、古の怪物と呼ばれている。

 だから、私が検査を行い、何もいじらず結果を渡した。

 これで、エリカには何も求められなかったのだ。
 
 だが、私には求められた。

 エリカの監視を。

 もしもの時はと付け加えられて。

 そんなことは無いが、一応意図を分かったつもりで答えた。

 貴族学園では未だに行方不明の捜索が行われている。

 暫くの間は休校になるだろう。

 多くの建物が瓦礫となり、無事な建物の方が少ない。

 全ての後始末を終えた私はエリカと共に領地に帰ったのだ。

 屋敷に到着すると両親が出迎えてくれたが、エリカの姿を見て驚きを隠せてなかった。

 その後、私はエリカのことを説明したのだ。

 婚約者ということも。

 その説明を聞いた両親は驚いたが、直ぐにエリカのことを温かく迎えてくれたのだ。

 それにエリカは驚きを隠せてなかった。

 それから、エリカは屋敷に暮らし始めたのだ。

 私は当主になるための教育を父上から習い始めた。

 その間、エリカは母上と一緒にいることが多い。

 お茶や買い物に行っている。

 母上は娘が出来たように嬉しそうだ。

 いや、それは父上もだな。

 エリカはまだ戸惑っているし、躊躇はするが、拒否することはない。

 それは我が家に仕える使用人達もだ。

 最近ではエリカは庭の一角で花を育て始めた。

 愛情を込めて。

 その姿からは憎悪の根源と呼ばれていたなんて微塵も想像出来ない。

 年頃の少女としか見えない。

 そんな感じで平穏な日常を過ごしている。
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