ゲームの裏切り者に転生したが、裏ボスも反転していました

竹桜

文字の大きさ
上 下
2 / 9

第ニ話 裏ボス

しおりを挟む

 いつもと同じように勉学に励んでいると、爆発音が聞えたのだ。

 自然と視線は爆発音がした方に向けられる。

 もしかして。

 ある疑問を胸に向いたが、それは正解だった、

 おいおい、馬鹿なのか?

 このゲームの裏ボスを復活させるなんて。

 いや、違うな。

 立ち向かうとしているところを見るに慢心したのだな。

 倒せると。

 だが、それは無理だ。

 主人公は斬りかかり、ヒロインは魔法を放ったが、効くことは無かった。

 裏ボスが尻尾を振るだけで主人公達は為す術なく吹き飛ばされたのだ。

 当たり前だ。

 全てのイベントをクリアした後ならな。

 裏ボス、憎悪の根源。

 姿はドラゴンだが、普通のドラゴンとは比較にならないような力を持っている。

 そんな力を持っているのに裏ボスには厄介な特性を持っているのだ。

 その特性は反転。

 反転はレベルの高い攻撃の威力は弱くなり、レベルが低い攻撃の威力が高くなる。

 更に厄介なのはただレベル低い攻撃では硬い鱗に弾かれる。

 つまり、攻略法はレベルが低く、何かの技能が高くなければいけない。

 ゲームの時は1つのミスでゲームオーバーになる。

 鬼畜の難易度だ。

 この2つを満たす者は殆どいないだろう。

 魔物を倒さず、鍛錬だけをしている者なんてな。

 だが、1人だけいる。

 それは私だ。

 授業で必要な時は倒したが、その以外では倒したことがない。

 そして、剣の鍛錬だけは続けている。

 仕方ない。

 やるか。

 死にたくないからな。

 そう思い、私は剣を3本拝借し、走ったのだ。

 破壊行動をしている裏ボスの元に。

 徹底的に破壊しているな。

 そうそう、ゲームオーバーになるとそのままバッドエンドに突入する。

 崩壊した世界というエンドに。

 全て荒れ果てた世界で憎悪の根源がただ立ち尽くしている。

 それは何処か悲しそうで満足そうだった。

 私は何度もそのエンドを見てきたのだ。

 数えるのが馬鹿になりそうな程。

 故に攻略法を独自に編み出すことに成功したのだ。

 勿論、不安要素はある。

 編み出した攻略法はゲームの中のものだ。

 だか、これは現実。

 いくら、ゲームの中に転生したとしてもな。

 不安要素を振り払うように私は両手で頬を強く叩いたのだ。

 信じろ。

 青春を全てを無駄にし、無価値だと思いながらも汗水たらしてたどり着いた攻略法を。

 短い人生の中で達成感を1番感じ、この世界に生きた証と確信出来た攻略法を。

 あった筈の将来に何も役に立たなく、誰も得することがない攻略法を。

 前世の私が文字通り命を掛けた攻略法を。

 ただ、信じろ。

 信じて戦え。

 そして、証明しろ。

 無駄では無かったと。

 来世での備えだと。

 いくぞ。

 裏ボスよ。

 そう言えば、勝敗を覚えていたな。

 35678戦、敗北17839、勝利17839。

 引き分けだった。

 初めて、勝ち越させてもらうぞ。

 憎悪の根源よ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

処理中です...