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第十一話 満月の下で
しおりを挟む私には、婚約者がいた。
だが、今の私は、アンデッドだ。
彼女の人生を縛ることは、出来ない。
それに、寿命も違う。
だから、私は、もう彼女と関わるつもりはない。
彼女は、人間と幸せになって欲しい。
私は、彼女がいる屋敷に向けて、頭を下げた。
彼女からは、見えないだろうが、必要なことだ。
今までの感謝と謝罪という意味で。
私は、頭を上げ、古城に戻った。
古城に戻る前に、シャドーソルジャーが、忠誠を誓うの姿勢を取っていた。
そのシャドーソルジャーの手には、赤色、いや、紅色の宝石が置かれていた。
私は、それを受け取り、「ご苦労」
すると、シャドーソルジャーは、頭を下げて下げ、影と一体化し、消えた。
私は、その宝石を持って、シャドートラベリングで、ウェスタンに向かった。
ウェスタンの中にある老舗のアクセサリー店に向かった。
その店の店員に、持ってきた宝石を見せると、驚きの表情を浮かべていた。
「こ、この宝石は」と言い、店員は、戦慄した表情を浮かべ、支配人を呼びに行った。
やっぱり、こうなるか。
この宝石は、珍しいからな。
直ぐに、支配人が飛んできて、売って欲しいと言われた。
私は、指輪の加工に必要なもの以外は、売っても良いと伝えた。
すると、支配人は、嬉しさ全開の表情を浮かべた。
この世界では、男性が、女性に告白する時に、女性の瞳の色をした宝石が埋め込まれた指輪を送る。
指輪は、3日ほどで出来上がり、更に、お金まで貰えた。
余った宝石を売ったお金だ。
その帰りに、いつもよりも豪華な食材を購入した。
それが終わったら、街を出て、シャドートラベリングを唱え、古城に帰った。
古城で、いつもよりも豪華な夕食を作った。
よし、準備は整った。
私は、今日、セレリアに告白するんだ。
夕食の時間になり、セレリアが、リビングにやってきた。
リビングにやって来て、セレリアは、少し驚いていた。
「ニース?なんで、今日は、こんなに豪華なの?」と、セレリアが、聞いてきた。
「食材が安かったから、大量に買ってしまったんだ」と、答えた。
「そうなんだ」と言い、セレリアは、納得な表情を浮かべた。
「セレリア。今日、お風呂を出たら、中庭に来てくれるか?」と、聞いた。
「うん?良いけど。何かあるの?」と、セレリアが、聞き返してきた。
「少し伝えたいことがあるんだ」と、答えた。
「伝えたいこと?」と、セレリアが、可愛らしく首を傾げて、聞いてきた。
「そう、伝えたいこと」と、答えた。
セレリアは、不思議そうな表情を浮かべていたが、少し豪華な食事を食べて、満足そうな表情を浮かべていた。
食事をする食べ終えたセレリアは、お風呂に入りに行った。
私は、使った食器を片付け、中庭に移動した。
中庭の空には、美しい満月が浮かんでいた。
10分待っていると、足音が聞こえた。
その足音は、確実に近付き、扉が開いた。
真っ白な服に身を包んだセレリアが、そこにいた。
セレリアは、満月に照らされた。
その姿は、まるで、月から降りてきた女神のようだった。
セレリアは、私に近づいてきた。
「ニース。私に伝えたいことって、なんなの?」と、セレリアが、聞いてきた。
私は、その質問に答えずに、片膝をついた。
セレリアは、驚きの表情を浮かべていた。
「い、いきなりどうしたの?ニース」と、セレリアは、珍しくアワアワしながら、聞いてきた。
「セレリア、私は、君に伝えるよ」と答え、懐から、小さい箱を出した。
セレリアは、それが何なのか分かっておらず、不思議そうな表情を浮かべていた。
私は、小さい箱から、紅色の宝石が埋め込まれている指輪を取り出した。
その指輪を見て、セレリアは、両手で、口を押さえ、感動と驚きを混ぜた表情を浮かべていた。
「セレリア。私は、君のことが好きになったんだ。君の笑顔に惚れ込んでしまった。だから、私と結婚してほしい」と言い、セレリアの方に、指輪を差し出した。
「うん、うん、私もニースのことが好き。ニースには、沢山助けて貰った。だから、好きになった。だから、受け取る」と言い、セレリアは、指輪を受け取ってくれた。
私は、立ち上がり、「ありがとう、セレリア」
「ううん、私の方こそ、ありがとう。亡国の元姫の私を好きになってくれて。本当にありがとう」と言い、セレリアは、満月よりも美しい笑顔を浮かべた。
私は、その笑顔に、見惚れてしまった。
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