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番外編 バレンタイン

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 [茉里視点]

 「ソニア。材料が揃ったから、始めようか」

 「はい、始めましょう」

 僕達はキッチンの上に並べたチョコを手に取り、お湯で溶かし始めた。

 僕はソニアに教えて貰いながら、そ、宗介の本命チョコを作っている。

 本命のチョコを作っていると、隣で作業しているソニアが僕の顔を覗いてきた。
 
 「ど、どうしたの?ソニア。僕の顔に顔に何か付いてる?」

 ソニアは左頬を指で差した。

 「頬に付いていますよ、チョコが」

 ソニアはハンカチを出し、僕の頬についたチョコを拭き取ってくれた。

 「あ、ありがとう、ソニア」

 その後、僕達はチョコ作りを再会した。

 1時間ぐらいで宗介に渡すバレンタインチョコが完成した。

 「作り終わったね、ソニア」

 「はい、茉里さん」

 「じゃあ、宗介に渡しに行こ」

 僕達は出来上がったチョコを持って、外で待って貰っている宗介の元に向かった。

 [主人公視点]

 茉里とソニアにキッチンに近付いて欲しくないと言われたので、外で作業しながら待っていると、2人がやってきた。

 2人は後ろに何かを隠していた。

 「茉里、ソニア。料理は終わったのか?」

 「う、うん、終わったよ」

 「はい、終わりましたよ」

 茉里の顔は少し赤くなっていて、ソニアも顔を赤くしてないが、少しだけ耳を赤くしていた。

 どうしたんだ?
 
 「そ、宗介。わ、渡したい物があるんだ」

 「私もありますよ、宗介さん」

 茉里とソニアは後ろに隠していた物を出してきた。

 2人が後ろに手を持っていたチョコだった。

 しかも形はハート型だった。

 ハート型のチョコ?
 
 そうか、今日は2月14日バレンタインデーか。

 2人からの本命チョコか。

 私はチョコを受け取った。

 「ありがとう、茉里、ソニア」

 2人は嬉しそうな表情を浮べた。

 「頑張って作ったから、今食べてほしいんだ」

 「私も賛成です。茉里さんが宗介さんの為に一生懸命に作っていましたから」

 「ソ、ソニア。それは言わないで、宗介にそれを知られると恥ずかしいよ」

 茉里は顔を赤くして、ソニアに近寄っていた。

 「宗介さん。私も一生懸命作ったので、ここで食べて感想が欲しいんです。お願いしますね」

 「わかったよ、2人共」

 まずは茉里の本命チョコを食べてみた。

 茉里の本命チョコは甘かった。

 次にソニアの本命チョコを食べてみた。

 ソニアの本命チョコはベリー系のジャムが入っていて、甘さの中に酸味があって美味しかった。

 茉里のもソニアのも美味しかった。

 「茉里、ソニア。2人のチョコはとても美味しかったよ。今まで食べたどんなチョコよりも。2人が俺の為に作ってくれたからだな」

 「ありがとう、宗介。僕、嬉しいよ」

 「ありがとうございます、宗介さん。私、嬉しいです」

 茉里とソニアは甘い笑顔を浮べた。

 その笑顔はチョコよりも甘いと感じた。
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