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第三十三話 魔物を統べる王

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 あれから、1ヶ月が経った。

 一部で、反抗には、成功したものの、支配下に入る国は、絶えなかった。

 残っている国家は、二桁になっていた。

 日本は、津軽海峡を渡らせていないが、物資不足に悩まされている。

 それは、他の国々も同じだった。

 徐々に徐々に詰んできている。

 それを頭の隅で理解しているが、前線の兵士達も政府の人間達は、戦い続けている。

 反抗するために。

 俺達は、テレビなどから情報を集めていた。

 後、1ヶ月ぐらいしか持たないだろう。

 そんなことを思いながら、砂浜に立っていると、突然、空に映像が、浮かんだ。

 これは、投影魔法。

 ま、まさか、あいつか?

 映し出されたのは、頭から2本の角を生やした男だった。

 その男の後ろには、海が見える。

 やはり、魔王か。

 しかも、魔王は、元の姿に戻っていた。

 魔王は、「初めまして、人類の皆様」

 魔王の声が聞こえたのか、茉里とソニアが、家から出てきた。

 そして、驚きの表情を浮かべていた。

 魔王は、「まずは、自己紹介をさせて貰おう。我は、異世界の魔王だ。まぁ、魔物達と一緒に召喚された」

 魔王は、続けて、「この世界の人間、いや、裏組織の人間達は、愚かだな。魔物を繁殖させて、軍隊と使うなんてな。魔物だって、一種の生物なのに」

 魔王は、手を上に上げ、「来い、魔物達よ。魔王の我の元に」

 すると、画面が切り替わった。

 切り替わった画面には、魔物達が、海に戻り、何処かに向かっている。

 それは、世界で起きていた。

 やがて、もの凄い数の魔物達が、魔王の後ろに映り始めた。

 到着した魔物達は、魔王に対して、頭を下げ始めた。

 その光景は、魔物達が、従っているようだった。

 魔王は、魔物を統べる王のようだった。

 魔王は、少し頭を下げ、「謝罪しよう。我の力が、戻るのが遅くなって、多くの者が亡くなってしまったことに」

 頭を下げたことに俺達は、驚きを隠せなかった。

 あの魔王が、頭を下げたのだ。

 魔王は、何処かの方に右手を伸ばし、「だから、これは償いだ。雷よ。罪深き者達に、死を」

 すると、雷が起き、何処かに何回も落ちた。

 魔王は、満足そうな表情を浮かべ、「これで、裏組織の幹部は、全員死んだ。それと、必要な設備は、破壊した。これで、裏組織は壊滅するだろう」

 魔王は、「裏組織は、これで、終わりだろう」

 魔王は、ニヤリと笑い、「さらばだ。この世界の人類よ。我は、この魔物達と一緒に異世界に帰り、異世界で、魔王として君臨する」

 空に浮かんでいる映像は消えた。

 この日、この世界から、多くの人々を喰らった魔物は、姿を消した。

 異世界の魔王と共に。

 

 

 
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