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第二十六話 賠償

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 スーツに身を包んだ偉そうな者達は、頭を上げた。

 スーツに身を包んだ偉そうな者の1人は、「貴方達が、失われた3年間は、代え難いものだろう。なので、政府で、会議した結果。賠償を支払うことにした」

 スーツに身を包んだ偉そうな者の1人は、続けて、「好きなものを選んでくれ。政府が、責任を持って、叶えると」

 そこまでするとは。

 政府は、本気だな。

 なら、俺達の賠償は、決まったな。

 俺は、茉里の方を見て、無言で、確認をとった。

 茉里は、頷いて答えてくれた。

 よし、茉里も分かってくれた。

 賠償の内容は、1番最後でいいか。

 そんなことを考えていると、サバイバル生活をしていた元クラスメイト達が、賠償の希望を口にした。

 その内容は、衣食住の保障と、1ヶ月30万の金だった。

 サバイバル生活をしていた元クラスメイト達は、今後一生の生活の保障を賠償とするようだ。

 それにしても30万か。

 俺なら、10分の動画を1本見終わる前に、稼ぎ終えるな。

 千円札を一万円札に、30回変えるだけでいいからな。

 その賠償は、簡単に受け入れられた。

 簡単だからな。

 監視下にある建物に、ぶち込んで、1ヶ月に1回、30万をあげればいいだけだからな。

 それにしても少ないな。

 多分、学生の頃の金銭感覚のままなんだろう。

 まぁ、普通に過ごす分には、問題ないな。

 ドレスを着た元クラスメイトは、父親の税金を無償にさせた。

 消費税以外の。

 政府の要人達は、苦虫を噛み潰したよう表情を浮かべていたが、予想した通りみたいだな。

 直ぐに受け入れた。

 あいつの家は、金持ちだから、サバイバル生活をしていた元クラスメイト達よりも厳しいのだろう。

 「これで、後は、2人か。多村さん、管山さん、賠償は、何がいいですか?」と、スーツに身を包んだ偉そうな者達の1人が、聞いてきた。

 「俺は、重婚を望む」と、答えた。

 その答えに、この場にいる者達が、唖然としてしてしまった。

 「僕は、戸籍を望むよ。ソニアの」と、茉里が、答えた。

 その言葉に、元クラスメイト達は、驚いた表情を浮かべた。

 「じ、重婚?戸籍?ど、どういうことだ?」と、困惑した表情を浮かべながら、スーツに身を包んだ偉そうな者達の1人が、聞いてきた。

 「俺が、結婚したいもう1人の女性は、異世界人で、戸籍がないんだ。ちなみに、もう1人は、茉里だ」と答え、茉里の肩に手を置いた。

 茉里は、左手をあげ、婚約指輪を見せた。

 茉里の左手の薬指には、ブラックダイヤモンドが埋め込まれている婚約指輪をついている。

 「な、なぜ、異世界人が、ここに?」と、まだ困惑した表情を浮かべながら、スーツに身を包んだ偉そうな人達の1人が、聞いてきた。

 「彼女は、偶々、召喚の事故に巻き込まれて、この世界に来てしまったんだ。それを偶々、私が、発見して、保護したんだ。彼女には、異世界で、良くしてもらったからな」と、答えた。

 スーツに身を包んだ者達の1人は、頭を抱えながら、「そ、そうか。その賠償は、日本政府として飲む。だ、だが、い、一応、その者に、話だけは、聞かせてもらう」

 俺は、短く、「分かった」

 賠償の話が終わると、帰っていいと言われたので、直ぐに帰ることにした。

 話すことも無いしな。

 俺は、元クラスメイト達から、嫉妬の視線を向けられたが、全て無視し、茉里をエスコートして、会場を後にした。

 家に帰った後に、情報をソニアと共有した。

 すると、ソニアは、合法的に、結婚できると知り、喜んでいた。

 喜んでいた時のソニアの顔は、とても可愛かった。
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