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第五話 ニアの追手
しおりを挟むニアと会ってから、1ヶ月が経った。
その時には、ニアの骨折は、ほぼ治っていた。
今は、体の調子を戻そうと、体を動かしている。
ニアは、本物の猫ように、身軽であり、木を難なく登ることが出来ていた。
どうやら、別れは、近いのかもしれない。
体を動かし後は、昼食を食べるため、ニアを呼び、ニアと一緒に、家の中に入った。
昼食を作っていると、足りないものがあると気付き、取りに行こうとすると、ニアが取ってくると言い、家から出て、倉庫に向かった。
ニアのことを待ちながら、昼食を作っていると、ニアの悲鳴が聞こえた。
俺は、火を止め、直ぐに、家から出て、悲鳴が聞こえた方に向かった。
そこに着くと、ニアは、黒いフードを着た見知らぬ狼の獣人に、短剣を向けられていた。
「おい、お前、俺の同居人に、何してる?」と、聞いた。
狼の獣人は、俺の方を向き、「うん?何だ、同居人がいたのか。俺は、この役立たずを殺しに来たんだ」と、答えて来た。
ニアは、「 に、逃げて、ヒツヤ。ヒツヤには、死んで欲しくない」
狼の獣人は、「随分と、あの男のことを好きらしいな。でもな、お前は、忌子ということは、忘れるなよ」
その言葉を聞き、ニアは、顔を真っ青にした。
「いいか、お前、こいつは、忌子なんだよ。獣人の中では、黒色の容姿で、産まれたものは、全て忌子なんだ」と言いながら、狼の獣人は、ニヤリと笑っていた。
ニアは、顔を下に下げ、体を震わせていた。
「それが、どうした?」と、聞いた。
その問いに、狼の獣人は、驚いた表情を浮かべ、ニアは、顔を上げ、信じられない表情を浮かべていた。
狼の獣人は、「そ、それが、どうした?どうもこうも、こいつは、忌子なんだぞ」
俺は、「だから、それがどうした?獣人の中では、そうかもしれないが、俺は、人間だ。もし、ニアが、獣人の中で、忌子だったとしても俺には、関係ないことだ」
ニアは、その言葉を聞き、両手を口元で抑え、目には、涙を溜めていた。
狼の獣人は、「だ、だが、こいつは、暗殺者だ。人殺しだぞ。人を殺して来た奴が、日が当たる場所に行けかよ」
俺は、「それもどうかしたか?こんな山奥に住んでいると、偶に盗賊が来るんだ。俺は、自分が生きるために、その盗賊を殺している。それは、生きるために殺しているんだ」
俺は、続けて、「生きるために殺している俺達に違いなんてないぞ。それに、この世界は、弱肉強食だ」
「そうか。本当は、こいつだけを普通に殺すつもりだったが。お前を殺して、こいつに絶望を与えよう」と言い、狼の獣人は、俺の前から、消えた。
俺が気付いた時には、俺の目の前まで来ていた。
ニアの悲鳴が聞こえた。
だが、短刀が俺の体に刺さることは、無かった。
なんなら、短剣の刃が折れた。
俺は、スキルで体を鋼鉄にしていたのだ。
俺は、唖然としている狼の獣人の右腕を掴み、スキルで握力を上げ、握り潰した。
狼の獣人は、声にならない悲鳴を上げ、折れた短刀を右手から離した。
俺は、地面に落ちる前に、短刀を左手で取り、狼の獣人の首に当て、引き裂いた。
狼の獣人の首は、切られたというよりは、引き千切られていた。
首が引き千切られた狼の獣人は、動かなくなった。
俺が、握り潰した右腕から、手を離すと、狼の獣人の体は、地面に音を立てて倒れた。
「ヒ、ヒツヤ、な、何者なの?」と、ニアが、耳を寝かせ、尻尾を先端を隠して、聞いて来た。
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