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最終話 ここで私は
しおりを挟む元凶を倒した後、私達はダンジョンの中から脱出することが出来たのだ。
だが、私は直ぐにダンジョンに戻った。
元凶を倒した私はダンジョンマスターになったのだ。
スキルによって街を作ることが出来た私が、ダンジョンまでも自由にすることが出来るようになった。
殆どの階層を縮め、魔物を全て居なくしたのだ。
必要無いからな。
後は階層の多くも無くした。
そこまで必要無いからな。
戻った私はダンジョンの中にテーマパークをしたのだ。
政府の許可は何とか降りた。
色々と条件をつけられたがな。
例えば、魔物を出すないことや政府の監査を受けること等だ。
そうそう、土地に関してはおじいちゃんが所領していた場所だから問題は無い。
テーマパークに生き物は使えないので、動物園等は無理だ。
そして、広告に関しては叔父がやっている会社に頼んでいる。
ちなみに、叔父は金払いが良いとか言いながら豪快に笑っていたな。
全くあの人は。
そうそう、私は高校退学し、通信制高校で高卒認定を取った。
そして、通信制大学も卒業したのだ。
これがこの土地を譲って貰う条件だったから、面倒と思いながらも卒業した。
ダンジョンを使用したテーマパークは物珍しくヒットしている。
故に稼いでいる。
昔の高校と最下層は改装し、博物館になっている。
ちなみに、魔剣もそこに展示している。
他は普通のテーマパークになり、全てを一般公開しているのだ。
最上階以外は。
最上階の避難者の街と人でなしの街は解体し、私の家を広げている。
一般客はエレベーターで移動し、従業員達も従業員エリアをエレベーターで移動している。
だが、最上階に行くエレベーターは1人除き使えない。
縁側に座りながら、休憩をしていると足音が聞こえてきた。
その足音はどんどんと縮まっていき、私の目の前で止まったのだ。
「先輩。来たっすよ」
声がした方に向くと有咲がいたのだ。
そう、かつての後輩の有咲だけがここに無許可で来ることが出来る。
許可さえあれば、ここに来ることは出来るが、それはまだ交友を持っている者達だ。
例を挙げると共に戦った者達だ。
偶にその者達と酒を飲んでいる。
「有咲。もう私は先輩じゃないぞ」
「それでも先輩は先輩っすよ。私だけの先輩」
「そうか。それで、就職は大丈夫なのか?」
「もう決まったっすよ。卒論も終わったから、暫くここに泊まる予定っす。あ、勿論、許可は取っているっすよ」
有咲は高校を卒業し、今は大学4年生だ。
長期休暇の時に泊まりに来ている。
勿論、自身の両親の許可を取って。
「先輩。改めて、これからよろしく頼むっす」
そう言い、有咲は笑顔を浮かべていたのだ。
その笑顔はとても幸せそうだった。
そんな幸せそう笑顔を見た私の中ではある感情が湧き上がっている。
この感情の名前は分からない。
だが、1つだけ分かることはある。
それは失って初めて気付くことが出来るものだと。
有咲を。
だが、1度失えれば、もう二度と有咲の笑顔を見ることは出来ない。
故にこの感情の名前は知らなくいい。
少しずつ有咲を通して知っていけばいい。
これに確証なんて無い。
だが、きっと、きっと、有咲と過ごせていけば、非日常が日常に変わっていくだろう。
平穏な時という日常に。
願わくば。
未来でも私は君の隣にいたい。
まぁ、これからのことは分からない。
今はただ君と過ごそう。
日常を。
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