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第十一話 露天風呂
しおりを挟むあれから私はエレベーターを下に伸ばしながら、自衛隊隊員達と作戦会議を行っている。
作戦の要である男は自衛隊と共に打ち合わせを行いながら、訓練を続けている。
ちなみに、この作戦について知っているのは自衛隊と私とあの男のにだ。
徹底的に情報統制を行なっているので、誰も知らない。
勿論、有咲も知らない。
街の方は平穏そのものだ。
平穏と言ってもそれは避難者達の街の方だけ。
人でなし達の街は少しずつだが不満が溜まっている。
後半年が限界だな。
まぁ、暴動が起きたなら、最低限の衣食住だけしかない街に切り替えるだけだ。
特にあの親の七光り野郎。
後で見ておけとか小物過ぎる。
そうそう、これは1人にしか言ってないことなのだが、下に向かうエレベーターは1日に1階しか伸ばすことしか出来ないのだ。
ちなみに、知っているのは有咲のみ。
だから、ポイントは溜まる一方だ。
作戦に必要なポイントはもう大丈夫だから、新しく建築するか。
娯楽施設を。
建築すれば、またポイントが溜まるからな。
そう思い、娯楽施設を建築したのだ。
人でなし達の街には1つの娯楽施設を、避難者達の街には2つの娯楽施設を。
そして、古民家には露天風呂を。
勿論、周りからは見えないように竹で囲っている。
だから、その露天風呂からは見えるのは空だ。
凝り過ぎてしまった。
昔は露天風呂に入りながら、空を見上げるのが好きだったのだが、非日常に巻き込まれてから無理になってしまった。
だが、この非日常が私を元に戻したのかもしれない。
だから、理想な露天風呂を作ってしまったのだろう。
ポイントも予想以上使ってしまった。
これはいい傾向なのか?
分からないな。
まぁ、いい。
今はな。
後で考えればいい。
そんなことよりも確認だ。
露天風呂の。
一通り見て回ったが問題は無いな。
更衣室もあるし、シャンプー等の補充も大丈夫だ。
これなら今夜から使っても何も問題無い。
完成したことを有咲に伝えると喜んでいた。
その日の夜、夕食を食べ終えた私は縁側に座っている。
満月を見上げながら。
ゆっくりしていると足音が聞こえてきた。
足音が聞こえた方に視線を向けると満月に照らされた有咲が。
満月に照らされている有咲は風呂上がりなのか、浴衣に身を包んでいる。
「先輩、出たっすよ」
そう言い、有咲は私の隣に座ったのだ。
座った有咲はモジモジした後、何かを決心してから私の方を向いてきた。
その顔は風呂上がりなのか、ほんのり赤かったのだ。
「前々から聞きたいと思っていたんっすけど、先輩って彼女いたことは?」
「無いな」
「良かったっす」
そう言い、有咲は嬉しそうに微笑んだ。
その時、私は固まり、顔が熱くなるのを感じた。
「あれれ?もしかして、照れているっすか?」
「照れていない。ただ少し熱かっただけだ。私は風呂に入ってくる」
そう言い、私は有咲の元から離れ、露天風呂に入ったのだ。
お、おかしい。
私が照れるなんて。
有咲はただ後輩だ。
後輩だから守った。
人らしくあるために。
だが、分からない。
今の私には。
色々と考え事をしていたら私は長風呂をしてしまった。
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