学校がダンジョンに転移してしまいました

竹桜

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第一話 追放

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 私は中学2年性の時、異世界に召喚された。

 それも大勢で。

 私はスキルを得たが、あまり役に立つことは無かった。

 突然、私は異世界から帰還したのだ。

 帰還出来た理由は分からない。

 元の日常に戻ることは無かったのだ。

 非日常は私を苦しめ続ける。

 昔は普通な学生だったが、今はもう無理だ。

 だから、友達はいなくなり、暗い性格になってしまった。

 そんな私は高校2年生になったが、特に変わることは無かったのだ。

 だが、そんな私に関わってくる者がいる。

 それは1つ下の後輩だ。

 先輩を敬うような後輩ではなく、俗に言う生意気後輩。

 そんな彼女を嫌いにはなれなかった。

 夏休みも近付き、暑くなっている。

 夏服に身を包みながら、冷房が効いた部屋で授業を受けているのだが、真面目に聞いてない。

 非日常が夢を諦めさせた。

 だから、未来を考えられない。

 外を向きながら、退屈に思っていると一瞬だけ光ったのだ。

 一瞬光ったことを不審に思っていると思わず目を覆う程の光が差し込んできた。

 光が晴れると外の光景が変化していたのだ。

 何の変化もない街ではなく、壁がこの高校を囲んでいる。

 そんな変化は周りに混乱が生じていたが私は冷静だった。

 また非日常に戻ってしまった。

 思わず、ため息をついてしまったのだ。

 まぁ、非日常が日常になれば、睡眠不足は解消されるだろう。

 それから直ぐに校内放送がかかり、全校集会が開かれた。

 その全校集会で現状の説明をされたが、無いに等しい。

 それから学校での避難が開始されたがいつまで待っても救助は来ない。

 食料は備蓄だけなので、日に日に少なっていく。

 故に不満が溜まっていく。

 不満が向かう先は現在管理している先生方だ。

 親の七光りの生徒とその取り巻き達を中心とした者達が実権を握った。

 だが、経験がない素人が上手くいく訳が無い。

 故にまた不満が溜まる。

 不満が向かう先は纏める者達だ。

 普通なら諦めればいいのだが、権力を手放したくないみたいだな。

 考えた方法は最悪のものだ。

 最悪な方法は追放。

 追放者を決めるのは投票だ。

 早速、第一回の投票が開始された。

 私は何も記入せずに投票したのだ。

 それから1時間が経ち、投票が開示された。

 投票の結果、追放はなんとあの生意気な後輩だったのだ。

 仕方ないことだろう。

 彼女は嫌われていたからな。

 同級生から。

 そんなことを思っていると生意気な後輩は泣き崩れてしまった。

 そんな彼女を追放する為に周りの者達は動き始めていたのだ。

 どうやら、人の心を捨てたようだな。

 生徒ならまだ未熟だから分かる。

 だが、教える立場にある者達が守るべき生徒を見捨てるのは失望の1言だ。

 失望しながら、私は彼女を庇うように立ったのだ。

 「彼女だけ追放されるのは心苦しい。だから、私も共に行こう」

 私の言葉に周りは驚きを隠せてなかった。

 「なんでっすか?」

 「何でか、単純な理由だ」

 「単純な理由?」

 「ああ。男が泣いている女性を見捨てられない。たった1人の後輩なら尚更だ」

 そう言い、私は彼女に向かって手を伸ばしたのだ。

 彼女は涙を拭き、私の手を取ってくれた。

 華奢な手だな。

 そんなことを思いながら、その手を握ったのだ。

 「さて、私達はここを失礼する。さらばだ、人の心を捨てた者達よ」

 その後、私は彼女と共にここを後にしたのだ。
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