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第十六話 勇者の力
しおりを挟む違う辺境の街で、俺達は、変わらない日常を過ごしていた。
クロエは、庭で、花の手入れをしていた。
鼻歌を歌いながら。
その光景を見ていると、クロエは、突然、光に包まれた。
俺は、急いで、クロエのところに向かったが、あと一歩のところで、届かなかった。
クソ、最悪だ。
クロエが、攫われた。
そのままの姿で。
直ぐに、転移を。
そう思いながら、転移石を出そうとすると、空に映像が浮かんだ。
その映像には、クロエと、頭から角を2本生やした男が映っていた。
あれは、大悪魔。
なんでだ。
あれは、設定だけの存在で、しかも封印された筈だ。
大悪魔は、「来たか、忌子」
「あ、あなたは、誰?」と、クロエが、大悪魔に、聞いた。
「我か?我は、封印されていた大悪魔だ。英雄と呼ばれていた奴を操って、復活したんだ」と、大悪魔は、答えた。
俺は、魔法袋から、黒刀を取り出した。
「私を、呼んだ、理由は?」と、クロエが、大悪魔に、聞いた。
「忌子。俺は、お前を喰うことで、力を増やすことが出来る。光栄に思え。世界に愛されていない忌子のお前が、役に立てるからな」と、大悪魔は、答えた。
クロエは、小さく笑い始めた。
俺は、魔法袋から転移石を取り出した。
「何が、可笑しい?」と、大悪魔は、少し苛立ちながら、クロエに、聞いた。
「確かに、私は、忌子。でも、この、世界で、たった、1人だけ、私の、ことを、愛し、てくれる、人がいる」と、クロエは、答えた。
「来て、くれるよね。リク」と言い、クロエは、微笑んだ。
俺は、転移石を使い、クロエの前に移動し、大悪魔の前に立った。
「勿論だ、クロエ」と答え、クロエの方を向いて、微笑んだ。
「信じてた。来て、くれる、って」と言い、クロエは、安堵の表情を浮かべた。
俺は、「もう安心だ。あんな雑魚は、敵ではないからな」
すると、大悪魔は、怒りの表情を浮かべ、俺に、攻撃を仕掛けてきた。
俺は、居合い斬りを使い、大悪魔の両腕を飛ばした。
大悪魔は、苦悶な表情を浮かべ、俺達から、距離を取った。
大悪魔は、両腕を再生させようとしていたが、再生出来なくて、驚きの表情を浮かべていた。
「き、貴様、何をした?」と、大悪魔は、怒りで満ち溢れた表情を浮かべて、聞いてきた。
黒刀には、再生阻害の力がある。
これは、ある魔物を倒すときに、必要な能力なので、つけていた。
まさか、役に立つなんて。
まぁ、あの魔物を倒せないと、クロエのシナリオは、バッドエンドになるからな。
「簡単のことだ。この黒刀には、再生阻害の力がついている。だから、再生した無いだけだ」と、答えた。
俺は、居合い斬りの構えを取り、「大悪魔か、知らんが、俺の恋人に手を出したんだ。死んでくれ」
大悪魔は、何か言おうとしていたが、その前に、黒刀を抜刀した。
大悪魔の首は、体と離れた。
体は、力無く地面に倒れ、首は、体から少し遠いところに、転がった。
そして、消えた。
まるで、最初から、何も無かったみたいに。
俺は、魔法袋に黒刀をしまい、転移石を取り出した。
クロエの手を握り、怪我の有無を確認した。
クロエには、擦り傷1つもついていなかった。
俺は、転移石を使い、家に帰った。
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