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番外編 クリスマス

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 元の世界からまた新しい文化が伝わってきた。

 それはクリスマスだ。

 そして、今日はクリスマス。

 元の世界なら悲しく1人で過ごしているが、今は違う。

 この世界のクリスマスはエーリゼが隣りにいる。

 今は用事が出来たと言い、自室で何かをしているみたいだ。

 私はいつもと変わらず、書類の処理をしていると扉がノックされた。

 入室の許可を出すとアメリアが入室してきたのだ。

 「お兄様。突然ですが、これをつけて下さい」
 
 そう言い、アメリアは目隠しを渡してきたのだ。

 「め、目隠しを?」

 「はい」

 そう言い、アメリアは満面の笑みを浮かべていたのだ。

 今日の仕事は終わっているから大丈夫か。

 「分かった」

 そう言い、私はアメリアから目隠しを受け取ったのだ。

 そして、目隠しをつけた。

 「ありがとうございます、お兄様。では、案内しますね」

 そう言われ、私はアメリアに手で何処かに案内を始めたのだ。

 暫く歩くとアメリアは何処かの扉を開けた。

 その部屋でアメリアは私の手を離したのだ。

 「頑張って下さい」

 その言葉の後、扉が閉まる音が聞えたのだ。

 その音が聞こえた後、愛しい声が聞こえてきた。
 
 「レ、レイグ。め、目隠しを取っても大丈夫だよ」

 「分かった」

 そう言い、私は目隠しを取ったのだ。

 目隠しを取った私の目の前に居たのは顔を真っ赤にしているエーリゼだった。

 そして、目の前にいるエーリゼはサンタのコスプレに身を包んでいたのだ。

 エーリゼが身を包んでいるサンタのコスプレはなんと短いスカートだった。

 「な、なんか言って、レイグ」

 そう言い、エーリゼは恥ずかしそうに両手で短いスカートを必死に下に伸ばしていたのだ。

 か、可愛い。

 普段着ないような短いスカートに身を包んで、恥ずかしがっているエーリゼは。

 しかも、スカートを伸ばしている。

 だが、今は言葉を返さないといけないな。

 「とても似合っているよ、エーリゼ」

 「そ、それは良かった。で、でも、やっぱり恥ずかしいな」

 そう言い、エーリゼはベッドの上に座ったのだ。

 「レ、レイグ。こっちに来て」

 そう言い、エーリゼの隣をポンポンと叩いたのだ。

 どうやら、隣に座って欲しいみたいだな。

 そう思ったので、私はエーリゼの隣に座ったのだ。

 それを確認したエーリゼはベットの横にあるサイドテーブルに置いてあった箱を開けた。

 開けた箱には2切りのケーキが置いてあったのだ。

 その1切りを皿に移し、私の方を向いてきた。

 「レ、レイグ。く、口を開けて」

 そう言う、エーリゼの顔は湯気が出そうなぐらい真っ赤になっていたのだ。

 それを見た私は黙って、口を開けた。

 そして、エーリゼは私にケーキを食べさせてくれた。

 エーリゼにあーんして貰ったケーキはいつもよりも甘く感じたのだ。

 やっぱり、愛している人から食べさせてもらうのはいいな。
 
 「ど、どう?」

 「とても美味しいよ」

 「良かった」

 その時、初めてエーリゼは安心したような表情を浮かべたのだ。

 そんな表情を浮かべた後、エーリゼは何かに気付いた。

 「レイグ。口にをついているよ」

 どうやら、口についてしまったようだ。

 私は取ろうとしたが、取れなかった。

 「そっちじゃないよ。僕が取るよ」

 「ありがとう、エーリゼ」

 「気にしないで」

 そう言い、私に向かってエーリゼは手を伸ばしたが、少し様子が違った。

 エーリゼの手は口では無く、私の頬に当てられたのだ。

 そして、顔を近づけられ、口で取られた。

 私は固まってしまったのだ。

 エーリゼがこんな積極的に。

 何とか首だけを動かし、エーリゼの方を見たが、どうやら限界のようだ。

 エーリゼは耳まで真っ赤になり、皿をサイドテーブルに置いた瞬間、文字通り風のように消えたのだ。

 扉が開く後と共に隣の部屋の扉が開いて。

 そして、ほぼ同時に扉が閉まる音が聞こえた。

 隣の部屋はアメリアだ。

 恥ずかしくなって、アメリアの部屋に行ったのだろう。

 それにしてもエーリゼは可愛いな。

 悪役顔のモブだった私には勿体ない。

 だからこそ、私はエーリゼを幸せにする。

 そんなことを思っていると音が聞えたのだ。

 音がした方にあるのは玄関。

 そして、この音は。

 全てを理解した私は窓から空を向いたのだ。

 どうか私達を見守ってくれ。

 宿敵よ。
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