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番外編 バレンタイン
しおりを挟む[エリーゼ視点]
異世界からバレンタインという文化がやってきた。
そのバレンタインという文化は女性が好きな男性にチョコを送るというもの。
し、しかもそのチョコのことを本命チョコというみたい。
ぼ、僕はレイグのことが好きだから、本命チョコを作ることにした。
あ、あんまり料理したことがないから、屋敷の料理長に教えて貰いながら、チョコを完成させた。
僕はそのチョコを持って、レイグの元に向かった。
[主人公視点]
屋敷の中で、アメリアとマリナと過ごしていると、エリーゼがやってきたと執事から伝えられた。
私はアメリアとマリナに断りを入れ、エリーゼを門まで迎えにに行った。
「エリーゼ、どうしたんだ?」
「す、少しレイグに用事があって」
「私に用事?」
「う、うん」
よくエリーゼの顔をよく見てみると、赤くなっていた。
「アメリアとマリナのところに行くか?」
「う、ううん、レイグと2人きりがいいんだ」
「じゃあ、庭に行くか?」
「う、うん、そうさせて貰うよ」
私はエリーゼをエスコートしようと近付くと、庭の方に向かってしまった。
ど、どうしたんだ?
エリーゼの方をよく見てみると、何かを隠していた。
私は不思議に思いながら、エリーゼの後に続いた。
庭に到着すると、エリーゼは私の方を向いたが、もじもじしていた。
「レ、レイグ。き、今日ここに来たのはわ、渡したい物があって来たんだ」
「渡したい物?」
「う、うん。渡したい物だよ。い、一生懸命作ったから喜んで貰えたら嬉しいな」
エリーゼは隠していた物を出してきた。
エリーゼが出してきたのは箱だった。
その箱からは甘い匂いが漂ってきた。
これはチョコか?
そうか、今日はバレンタインデーか。
だから、これは本命チョコか。
前世を含めて、チョコなんて貰ったことはない。
初めてのチョコがエリーゼからなんて、嬉しいな。
私は本命チョコの箱を受け取った。
「ありがとう、エリーゼ。後で大事に食べるよ」
「ま、待って、レイグ。今食べて感想を言って欲しいんだ。す、凄く気になるから」
エリーゼは私に体を寄せてきた。
「わ、分かった、エリーゼ」
私は箱を開け、チョコを食べた。
エリーゼの本命チョコは甘くて美味しかった。
「ど、どうかな?レイグ」
エリーゼは少し不安そうな表情を浮べていた。
「今まで食べたどんなチョコよりも甘くて美味しいよ」
前世を含めても。
「良かった」
エリーゼは安心したような表情を浮べていた。
「あれ?レイグ。唇にチョコがついているよ?」
私は右手で唇の右側を触った。
「どこだ?」
「待って、レイグ。僕が取るよ」
エリーゼは私の目の前まで近付いた。
エリーゼが私の唇に手を近づけることはなく、顔を近づけていた。
そして、エリーゼは私の唇を舐めた。
エリーゼは湯気が出そうな程顔を真っ赤にしていた。
「ま、また後で、レイグ」
エリーゼは屋敷に向かって、走り去ってしまった。
私は暫くその場から動けなかった。
驚きと嬉しのあまり。
回復したら、アメリアとマリナがいる部屋に向かうと、耳がまだ赤いエリーゼがアメリアとマリナに抱き締められていた。
声を掛けようとしたが、私に気が付いたアメリアが口元に右手の人差し指で、シィーとやっていたので、声はかけなかった。
凄く恥ずかしそうにしていたエリーゼが、アメリアとマリナに話しているのを廊下から扉を少しだけ開けて、そこからただ聞いていた。
アメリアとマリナはそれを生暖かい目で見ながら、聞いていた。
本当にエリーゼは可愛いな。
後で、その時の話が私に聞かれていた事を知ったエリーゼはまた恥ずかしがっていたのはここだけの秘密だ。
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