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第七十二話 永遠の誓い

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 結婚式を終えた私達はクロバーグ家の屋敷まで帰った。

 エリーゼはウェディングドレスを着替えに行ったのだ。

 妻となったエリーゼが30分ぐらいすると普段着に着替え、私が待っている部屋に入って来た。

 「エリーゼ、今から少し出掛けないか?」

 「大丈夫だよ」

 返事を確認した私はエリーゼの手を掴み、転移石を使用し、ある場所に移動した。

 到着した場所は満月が浮かぶ草原だったのだ。

 「あれ?ここはレイグの宿敵の墓がある草原だよね?」

 「そうだよ。彼らにも報告をしないと」

 私達は宿敵と魔王の墓に報告をした。

 結婚したこととこれから幸せになることを。
 
 「そろそろ、レイグ、帰ろっか」

 「帰る前に1つ良いかな、エリーゼ?」

 「良いけど、どうしたの?レイグ?」

 「少しエリーゼに伝えたいことがあるんだ」

 「えっ、じゃあ、ここに来たのはそのため?」

 「そうだよ。そして、彼らは見届け人だ」

 これからすることは私の宿敵に魔王に見届けて欲しいのだ。

 特に私の宿敵には。

 宿敵は私達の幸せを願って死んでいった。

 ならば、私達が幸せであるとここで見せつけ無ければいけないのだ。

 そう考えた私はエリーゼの前で片膝を地面に着いた。

 「私、レイグ・クロバーグは私の宿敵である鬼人と魔王に見届けられ、ここに誓いを立てます。私はエリーゼ・クロバーグを永遠に愛することを誓います。どうか、私の誓いを受け取ってくれますか?」

 「うん、うん、受け取るよ。僕もレイグ・クロバーグだけを永遠に愛するよ。これからもよろしくね、レイグ」

 そう言い、エリーゼは今まで見たどんな笑顔よりも美しい笑顔を浮かべたのだ。

 私は立ち上がった。

 「ありがとう、エリーゼ。私も永遠に愛している」

 「僕も永遠に愛してるよ」

 私は愛しい妻のエリーゼを抱きしめた。

 抱きしめられたエリーゼは驚いていたが、直ぐに抱き返してくれたのだ。

 私達が抱き合っていると、突然風が吹いた。

 私達にはその風がまるで私の宿敵の鬼人と魔王が私達のことを祝福したように聞こえたのだ。

 抱き着きながら2人の墓を見てもそこには誰も居らず、ただの墓だった。

 例え、そこに居なかったとしても、私は空から2人が祝福してくれたと感じたのだ。

 私は空にいる2人に見せつけるようにエリーゼの唇にキスをした。

 エリーゼは突然のキスに驚いたが、直ぐに私のキスを受け入れてくれた。

 私達は愛を確かめたのだ。

 満月が照らす草原の中で宿敵の鬼人と魔王に見届けられながら、愛を確かめた。

 今日、私は本当の意味でエリーゼと結ばれたのだ。

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