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第六十三話 妹達の縁談
しおりを挟む貴族学院が始まる1ヶ月前になった。
クロバーグ家の面々とフレック家の面々とアルクーバ家の面々が1つの部屋に集まっている。
私達は机に置かれた1つの手紙を囲んでいた。
その手紙は婚約の申し込みだったのだ。
婚約を申し込んできたのはヒーロー公爵家からだった。
この公爵家の当主は主人公だ。
新規公爵家のため、自分で家名を決めることが出来る。
それでも、自分でヒーローなんて名前を付けるとかバカなのかと思った。
ヒーロー、つまり英雄だ。
主人公は勇者の力だけで魔王を浄化しただけなのに英雄とは頭がおかしいと思ってしまった。
頭のおかしさを疑っていたら、父上が机を叩いたのだ。
「ふざけているか?あの公爵家は?私の可愛い娘と姪っ子と婚約する?もう、既に10人と婚約を結んでいるのにか?」
「そうだな、兄上。私の可愛い娘と姪っ子を嫁にするのは断じて許されることではない」
「そうですな。いくらなんでも、婚約を結びすぎて私もかなり引いている」
ここにいる当主達は1人娘の父親だ。
そして、その1人娘を溺愛している。
だから、今回の婚約の話は納得が行かないのだろう。
もちろん、私もこんな可愛い妹達をあんな勘違い野郎にくれてたまるかと思っている。
だが、今回は公爵家からの申し出なので簡単に断ることが出来ない。
「父上、叔父上、アルクーバ子爵殿。今回のこと私にお任せ下さい」
「どうする気だ、レイグ?」
「昔の報酬を使います」
「昔の報酬?ああ、クラバタ王国のか」
「ええ、そうです。私がクラバタ王国まで行き、後ろ盾になってもらいます」
「だが、大丈夫なのか?行くまでそれなりに時間が掛かるが」
「それは大丈夫です。転移石を使用し、直ぐに済ませますから」
その言葉を聞き、この場にいる全員が納得してくれた。
解散した後、私は転移石を使用し、クラバタ王国に向かったのだ。
私は直ぐに謁見をして貰い、報酬を使用し、後ろ盾になってもらった。
後ろ盾になってもらったため、婚約の申し出を断ることが出来たのだ。
無事婚約が断ることが出来たので普通の日常を過ごした。
妹達の婚約騒動から1週間が経ったのだ。
私はお茶会をするためにアルクーバ家の屋敷まで来ていた。
いつもなら東屋に通されるが今日は何故か応接室に通されたのだ。
応接室の中にはエリーゼの父親が待っていた。
「待っていましたよ、レイグ殿」
「いきなり、どうしたのですか?」
「ああ、これを見て貰いたいと思いまして」
そう言い、エリーゼの父親は机の上にある紙を置いたのだ。
私はその紙を見てみた。
その紙にはふざけたことが書かれていたのだ。
その紙には私との婚約を解消し、エリーゼのことを婚約者にするという申し出だった。
「私は娘のエリーゼには幸せになって欲しいと思っている。レイグ殿なら娘のことを幸せにしてくれと感じている。だから、このことは家を潰してでも断る気だ」
「このことはエリーゼは知っていますか?」
「いや、まだ話していない」
「そうですか。なら、このことは私に任せてください。私に考えがあります」
そう言い、私は立ち上がった。
「エリーゼには用事が出来たと言っておいて下さい。直ぐ動くために王都に行ってきます」
私は直ぐアルクーバ家の屋敷から出て、転移石を使用し、王都に向かった。
王都に到着した私は国王陛下に謁見し、あることを申し出たのだ。
その申し出は承認された。
どうやら、国王陛下も主人公のことは目の上のたんこぶらしい。
私が申し出たことは主人公との決闘だ。
この国の貴族法には錆びれた法がある。
高い位からの申し出を決闘に勝つことで断ることが出来る法だ。
代理人も立てられるので、高い位の方が大体勝ってしまうので、この法は錆びれてしまった。
だが、私は主人公よりもこの世界の誰よりも強いので絶対に勝てるだろう。
これは慢心などでは無い。
ただの事実だ。
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