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第四十九話 力比べ

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 3日が経ち、夕方になっていたので私はグオターと出会った階層でグオターのことを待っていた。

 十数分そこで待っていると大きな足音が聞こえて来たのだ。

 大きな足音はどんどん私に近づいて来た。

 振動を感じる頃にはグオターの姿が見えてきたのだ。

 「来たか、レイグ」

 そう言い、グオターは嬉しそうに笑ったのだ。

 「約束を破る訳には行きませんから」

 そう言い、私は少し笑い返した。

 「グオター殿、1つお願いがあるのですが?」

 「なんの願いだ?」

 「私達の戦いをここだけのものにして欲しいのです」
 
 「なんだ、そんなことか。元々そうするつもりだ。俺はただレイグと戦いだけだからな」

 「ありがとうございます。では、そろそろ始めましょうか」

 そう言い、私は鞘から剣を抜いた。

 「ああ、そうだな。早く始めよう、体がうずうずして仕方ない」

 そう言い、グオターは背中からハンマーを取り出したのだ。

 私は剣を、グオターはハンマーを構えた。

 この場に静寂が訪れたのだ。

  静寂を先に破ったのはグオターだった。
 
 グオターはハンマーを振り上げ、私に向かって振り下げて来たのだ。

 私は剣でハンマーを受け流し、カウンターをした。

 私のカウンターは当たったが、グオターの薄皮一枚しか切ることが出来なかったのだ。

 その後もグオターの攻撃を受け流し、カウンターをしていたが致命傷を与えることが出来なかった。

 グオターは見た感じ傷だらけだが、たかが薄皮一枚しか傷ついていなかったのだ。

 突然グオターは嬉しそうに大きな声で笑い出した。

 「楽しい。楽しい。楽し過ぎる。ああ、こんな戦士がいたのか。黒騎士め、先に楽しみやがって。なぁ、レイグ。俺の全身全霊の攻撃を受け止めくれないか?」

 「もちろん、いいですよ」

 私の答えを聞くとグオターはニヤリと笑ったのだ。

 「感謝する、レイグよ。レイグ、お前は本当に最高な戦士だ」

 そう言い、グオターはハンマーを思い切り上に構えた。

 私は剣を右腰の辺りで構え、五の型一刀に決めたのだ。

 グオターはハンマーを上に構えながら、私に向かって踏み込んだ。

 グオターは私に確実に近づき、助走の力と全身全霊の力を込め、ハンマーを振り下ろして来た。

 本能的にこの攻撃は受け流すことが出来ないと分かったのだ。

 この攻撃は避ける他ないと思ったが私は逃げずに正面から向き合うことにした。

 私は右腰に構えた剣を斜めに振り上げたのだ。

 振り下ろされたハンマーと斜めに振り上げられた剣がぶつかった。

 ぶつかったがハンマーは剣に斜めに真っ二つ切られたのだ。

 その勢いは止まることなく、グオターの上半身も斜めに斬り裂いた。

 グオターの分かれた体はそのまま地に落ちたのだ。

 そして、斜めに真っ二つになったハンマーは大きな音を立て地に落ちた。

 私は剣から血を払い、剣を収めたのだ。

 グオターは虫の息だが、まだ生きていた。

 私はそんなグオターに近づいたのだ。

 「グオター殿、貴殿は私が今まで戦ったどんなものよりも力が強かったです」

 この言葉を聞き、グオターは今まで1番嬉しそうに笑ったのだ。

 「そうか、それは最高のことだ。俺の方こそ、感謝する。レイグのような強者と戦えて、良かった」

 「さらばだ、レイグよ。お前と戦えて、俺は幸せだったぞ」
 
 そう言い残し、グオターはニヤリと笑いながら素材だけを残し、消えていったのだ。

 私は鞘から剣を抜き、戦士の鎮魂の儀式を始めた。

 グオターは正々堂々と戦い、勇敢に戦い、死んでいった。

 ならば、戦士の鎮魂の儀式が必要だろう。

 戦士の鎮魂の儀式を終えた私は剣を鞘に収め、素材を回収した。

 「さらばだ、力強き勇敢な戦士グオターよ」

 そう呟き、私はその場から離れた。
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