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第四十六話 御前試合
しおりを挟む3日が経った。
私は装備を身に包み、黒騎士を待っている。
完全武装で自室の中で待っていると空に映像が現れたのだ。
そして、空の映像から声が聞こえてきた。
その声は聞き覚えがあったのだ。
「初めまして、人間達よ。私は魔王様に仕える四天王の1人黒騎士だ。まぁ、自己紹介もそこまでにして早速本題に入ろう。魔王様が今日復活なされた。それを祝いして、御前試合を行うことにした。そして、私の相手はこの者だ」
その言葉と共に私の周りは黒に包まれた。
黒に包まれた私が次に気付くと黒騎士の前に居たのだ。
「クロバーグ殿、よく来て下さった」
そう言い、黒騎士は軽く会釈をした。
「お気にならないでください。私はただ約束を守っただけですから」
そう言い、私も軽く会釈を返したのだ。
「皆様、初めまして。私、クロバーグ侯爵家長男、レイグ・クロバーグと申します」
そう言い、私は貴族の礼を取ったのだ。
「挨拶も終わったので、早速始めましょうか?黒騎士殿」
そう言い、私は鞘から剣を抜いた。
「そうですね、後は剣で語りましょう」
そう言い、黒騎士も背中から黒い大剣を二本取り出した。
そして、私と黒騎士は剣を構えた。
その場に静寂が訪れた。
静寂を破ったのは私だ。
踏み込んだ私は剣を右下から左上に上げ、攻撃を行った。
黒騎士はその攻撃を二本の大剣で受け止め、そのまま力任せに大剣の腹で攻撃して来たのだ。
私はその攻撃を避けるために、一旦距離を取った。
だが、黒騎士は私が移動する前に二本の大剣で上から下に攻撃して来たのだ。
私は剣の腹に左手を置き、二本の大剣を受け止めた。
受け止めた私は黒騎士の腹に蹴りを入れたのだ。
キックを入れられた黒騎士は少し後ろに飛ばされた。
私と黒騎士の間に距離ができ両者共、再び剣を構えたのだ。
その後の戦いは若干私の方が優勢だったが、黒騎士には致命傷を与えられていなかった。
せいぜい、小さな傷ぐらいだった。
私はこのままでは埒が開かないと思い、黒騎士から距離を取った。
「黒騎士殿、次、最後の一撃にしませんか?」
その言葉を聞いた黒騎士は嬉しそうに小さく笑ったのだ。
「最高だ。貴殿は最高だ。ああ、本当に。だから、次を最後の一撃にしよう」
それを確認した私は三の型抜刀を使うために剣を鞘に収めた。
黒騎士は二本の大剣を頭の上まで上げたのだ。
どうやら、助走をつけて上から大剣を振り下ろすようだ。
黒騎士は二本の大剣を構えながら、私の方に向かって踏み込んだ。
黒騎士は私に確実に近づき、助走の力と満身の力を込めて、二本の大剣を振り下ろして来た。
私は二本の大剣が振り下ろされる前に鞘から剣を抜き、黒騎士を真っ二つにしたのだ。
黒騎士の上半身はそのまま地に落ち、下半身は少し前に行き、地に落ちた。
そして、二本の大剣は黒騎士の上半身の左右の地面に突き刺さったのだ。
私は剣から血を払い、剣を鞘に収めた。
黒騎士は虫の息だが、まだ生きていは。
私はそんな黒騎士に近づいた。
「黒騎士殿、貴殿は私が今まで戦ったどんな大剣使いよりもどんな二刀流使いよりも強かったです」
その言葉を聞き、黒騎士は嬉しそうに大きく笑ったのだ。
「そうか、そうか。それはいいことを最後に聞けた。私が倒したのがこのような戦士で良かった。では、クロバーグ殿。これでお別れだ」
そう言い残し、黒騎士は素材だけを残し、消えって行ったのだ。
私は鞘から剣を抜き、戦士の鎮魂の儀式を始めた。
黒騎士は正々堂々と戦い、勇敢に戦い、死んでいったのだ。
ならば、戦士の鎮魂の儀式は必要だろう。
戦士の鎮魂の儀式を終えた私は剣を鞘に収め、素材を回収した。
素材を回収すると私の周りは黒に包まれたのだ。
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